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2016年04月05日 前へ 前へ| 次へ 次へ

急速に変化する中国のサービス産業

 「没有(メイヨー)」「不知道(プーチータオ)」―。ひと昔前、中国のホテルや飲食店、デパートなどのサービス産業全般でよく聞かれた言葉だ。商品の有無や困ったことで問い合わせをしても、応対に出た店員や従業員は「知りません」「ありません」とにべもない。現地に進出した日系企業の社員などは「ここは中国だから」と諦めていたものだ。
 ただ上海など大都市においては近年、良質な顧客本位のサービスを提供しようという姿勢へと急速に変化しつつある。例えば今、中国全土で人気の高い火鍋店「海底撈火鍋」を訪れてみれば分かる。店員のあいさつや案内態度は完璧だ。客を人数で差別することもなく、必ず担当店員がサービスを徹底し、食事中も常にお客目線で気を配る。大声で「服務員(フーウーユエン)!」と呼ぶ必要もない。圧倒的なサービスが大いに受けて昨年、東京・池袋に日本1号店を出店したほどだ。
 宅配業者も様変わりした。都市部で多様な業者が競合するなか、価格は高いものの、高い信頼性を強みに多くの法人顧客を獲得している運送会社が「順豊快運」だ。中国で心配な荷物の消失・行方不明がない。スタッフは全員、携帯端末で荷物を電子管理しており、その場で領収証を発行。数年前の荷物の履歴も、すぐ答えてくれる。上海の街角では、トレードマークの黒と赤の制服を着た若いスタッフの姿を頻繁に見かける。
 日本では未払いトラブルが一部で問題になっている個人間のネット売買。中国でも取引量が急拡大している。日本と異なるのは支払いが個人間ではなく、アリババグループの「支付宝」を通じて安全にお金のやり取りがされること。業者が間に入ることで、未払いや商品未着といったトラブルを防いでいる。ある意味で日本よりも安心して売買が行えるシステムだ。
 3月に北京で開かれた全人代(全国人民代表大会)では「2025年製造強国」を目指す姿勢に加えて「さまざまなサービス産業の質的向上」を図る国家方針が改めて確認された。サービス産業の変化は、まだ上海など大都市圏を中心にしたものだが、数年前の中国から見れば重要かつ大きな静的変貌と言えるだろう。サービス産業が質的に充実すれば、内需の振興・拡大につながり、消費経済を刺激する。低コスト・大量生産・輸出という中国のイメージは昔話となった。翻って日本。相変わらず中国に対して、過剰な脅威論や経済破綻などの報道が跋扈する。謙虚な姿勢で隣国の変化から学び、自らの経済成長の糧を見出すべきではないか。


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