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化合物ライブラリー相互活用に期待
製薬業界で、各社が保有する化合物ライブラリーを相互活用する動きが本格化してきた。新薬開発の難易度が高まり、どう対応するかは最大の経営課題。そのため外部の力によって効率的に研究開発を進めようというオープンイノベーション戦略の一環となるものだ。加えて企業間のみならず、アカデミアも交えた「オールジャパン体制」でライブラリーの活用拡大を目指す国家プロジェクトもスタートしている。画期的新薬の迅速な開発につながる取り組みとして注目される。
多くの製薬企業は、何十万種類を超す化合物の構造をライブラリーとして保有し、その中から標的分子に対して活性を有するものを選び出すという創薬の仕組みを敷いている。近年ではハイスループット・スクリーニング(HTS)と呼ばれる手法で、これを自動化し、効率性を高めている。ただ創薬のタネが埋まったライブラリーは秘中の秘。従来は外には出さず、それぞれの企業で内部活用するにとどまっていた。
ところが、ここにきて化合物ライブラリーを他社と共有したり相互に開示、あるいは売買するという取り組みが始まった。アステラス製薬と第一三共は、両社ライブラリーの一部を相互利用する契約を一昨年締結。さらにアステラスは先ごろ、田辺三菱製薬とも契約を結んだ。海外でも、仏サノフィと英アストラゼネカの間で同様の契約が交わされている。
一つの新薬を製品化するために、いまや平均3000億円は程度かかるといわれ、開発の難易度は年々上がっている。自社単独での研究開発にこだわっていては新薬の創出は難しい。その危機感が各社のオープンイノベーション戦略を後押ししており、化合物ライブラリーの相互活用も有力な具体策の一つと考えられている。
日本医療研究開発機構(AMED)の「産学協働スクリーニングコンソーシアム」は、この動きを一段高度化したものといえる。参画する製薬企業がライブラリーを無償で提供し、AMEDがアカデミアの創薬標的を選んでHTSを実施。結果を企業にフィードバックする。また使用したアッセイ系やスクリーニングの結果は、可能な限り参画企業間で共有される。産官学の一歩踏み出した連携により、日本発の新薬創出を加速しようというプロジェクトだ。
1社単独でなく他社の化合物群もスクリーニングできれば、新薬創製のチャンスは大きく広がる。このような活動が、画期的新薬の開発や、その製品化のスピードアップに結び付くことを期待したい。