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2014年07月29日 前へ 前へ次へ 次へ

建築物の長寿命化を化学の技術力で

 社会インフラ施設や住宅などの建築物は、メンテナンスやリフォームによって長期的に使おうという時代に入っている。こうした建築ストック市場において、化学の技術力をより発揮する取り組みを期待したい。
 国土交通省は今年5月にインフラ長寿命化計画(行動計画)を発表した。2012年12月に起きた中央自動車道笹子トンネルの天井板落下事故は社会に大きな衝撃を与えたが、わが国の橋や港湾をはじめ交通インフラの老朽化が進行している。さらに公営住宅などの住宅インフラでも老朽化した物件が増加。政府や自治体の限られた予算では、各種建築物をより長く利用することが求められる。
 この計画によると、中長期的なインフラの維持管理・更新コストは、13年度が約3・6兆円。10年後には4・3-5・1兆円、20年後は4・6-5・5兆円程度に増えると推定している。この需要を新規市場と捉え、化学産業は積極的に参入すべきだろう。
 例えば、重防食塗料は高速道路、橋梁、送電鉄塔をはじめとしたインフラ関連、石油、化学、電力などのプラント設備、石油プラットホームに代表される海洋構造物などあらゆる分野で活躍している。なかでも橋梁は、高度経済成長期に建築された施設が塗り替え時期に差し掛かっており、大きな需要が見込めそうだ。
 一般的なコンクリートは、内部に水が浸透すると鉄骨が錆びて劣化が進みやすい。これを防ぐため、長期間にわたりコンクリートの表面保護と撥水性を持続する撥水材が製品化されており、耐久性向上とメンテナンス費用の低減に貢献している。
 住宅においても、リフォームによって長期間、快適に過ごしたいというニーズが高まっている。わが国の住宅ストックは5500万戸で全世帯数を上回るという。新設住宅着工戸数の減少が見込まれるなか、ストック市場の活性化は必須の課題だ。日本建材・住宅設備産業協会では昨年度、リフォームビジネスの拡大に向けて協会内に「リフォームタスクフォース」を立ち上げ、住宅業界との連携のあり方に関する提言をまとめた。引き続き、官民協働でのイベント開催などリフォーム市場活性化に向けた積極的な取り組みが期待されている。
 日本で築年数の古い一戸建て住宅を売却しようとしても、土地の価格だけが評価され、建屋はほとんど価値がないと判断される場合が多い。一方、米国ではリフォームを行って付加価値を高めて売却するのが一般的だと言われる。わが国でもリフォーム、中古住宅流通の活性化を支援する政策が急務である。


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