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2014年07月23日 前へ 前へ次へ 次へ

成熟事業の競争力回復に向け方策を

 基礎化学品の国内需要が減少局面に突入した。石油化学では今年から3基のエチレンプラントの生産停止が始まり、さらなる能力削減も迫られそうだ。一方でこのまま縮小均衡が続くと、競争力低下を懸念する意見も多い。また化学工学における単位操作の技術開発は、研究資金の確保ができず手薄になっている。縮小する産業の競争力回復のため、技術開発を含めた投資のあり方が問われる。
 石化工業は景気の変動を受けやすいが、出発原料のエチレン生産は近い将来、600万トン割れは避けられない時代を迎えている。国内需要の縮小に加えて、中国など新興国の増産、競争力のあるシェールガスによる米国石化の復活とアジア市場への攻勢など厳しい環境が予想され、汎用樹脂などを含め設備縮小に向けて動き出している。
 設備縮小だけでは、日本の石化の競争力は一段と低下するという危機感も強まっている。1970年以前のエチレン30万トン時代の設備も現役で稼働しており、設備能力も世界標準に比較して小規模。加えて電力など高いユーティリティコスト、厳しい法規制なども重荷である。
 石化は化学産業のみならず、自動車など幅広い産業に原材料を供給する役割を担っており、競争力低下は放置できない。それだけに設備縮小による負のスパイラルに陥らない取り組みを並行して進める必要がある。その際、個別企業のみの対策では限界があり、複数の企業が連携せざるを得ない。日本と同じナフサベースの欧州石化は、相互接続のパイプラインによって柔軟性のある生産や価格形成を可能にしている。またユーティリティの専業会社が競争力のある価格で提供していることが日本にない強みである。
 日本のエチレンセンターは、各地に分散しているため地域連合を難しくしてきた。このなかで、千葉地区は石油精製を含めた連携の模索が始まっており、共同ボイラー導入による蒸気・電気コスト削減、保安・防災の連携などの検討が始まっている。その他の地域でも、石油精製との連携、地方自治体を巻き込んだ規制緩和の取り組みで効率化の可能性を模索すべきだ。
 ただ、国内で新規の設備投資に関しては、否定的意見が多いのも現実。このことは化学工業を支える基盤技術の開発にも共通する。化学工業のエネルギー使用の約40%を占める蒸留は、膜による分離など新たなブレークスルーが求められている。しかし、企業は国内で投資機会が見込めないこと、大学は研究者や資金不足から消極的になりがちだ。成熟しているとはいえ、基盤産業の競争力回復を真剣に考える必要がある。


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