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2014年05月23日 前へ 前へ次へ 次へ

人と話題 安全工学会 保安力向上センター長 若倉正英氏

評価システムの普及に力
設立2年目を迎えて活動領域を広げる
各社の自律的取り組み支援

 安全工学会がプロセス産業の保安力に関する第三者評価機関として昨年4月に立ち上げた保安力向上センターが、2年目を迎えて活動領域を広げようとしている。センター長の若倉正英氏は「各社の保安力自己評価のお手伝い、またデータ・情報の共有」と役割を示しながら、産業界全体への普及に力を尽くす。

 同センターは、安全工学会が経済産業省の調査事業などを通じて開発した保安力評価システムの普及を目指し、大手石油化学企業を中心とする支援会員から資金面や人的支援を受けて発足した。現在の支援会員は19社。うち1年間で17社の保安力自己評価が終了した。センターがフォローアップを行う中で各社の良好事例を整理し、「全体の平均点の中で、どのレベルにあるかを判断できる仕組み」などに活用する。
 定年でリタイアした人を中心にセンター評価員は現在12人。ほかに自社の保安力向上に努める保安力評価推進委員がいる。センターの活動は、3月の産業構造審議会・保安分科会でも産業界の自主的な保安活動として紹介された。
 若倉氏は、これまでずっと防災関係に携わってきた。1974年に東京工業大学理工学研究科を修了後、神奈川県工業試験所に入所。60歳になって災害情報センター、産業技術総合研究所(産総研)に関わった。2006年から5年間の保安力評価システム調査・研究に参加。12年に立ち上がった同センター準備室長を務め、発足と同時にセンター長に就任した。現在は産総研の安全科学研究部門研究顧問の肩書も持つ。
 さらに今年度に入り活動の幅を広げる。評価だけ行いたい企業などを対象に「普及会員」の募集も開始した。石化企業の中堅や加工、ファインケミカルメーカーなどを想定しており、連続運転の化学プロセスに加えて、必要に応じて加工業やバッチプロセスに対応した評価項目も策定していく。日本化学工業協会とも話を進めている。
 この背景には「センター設立に向けた説明のために大手石化各社のトップを回った際にも、加工分野、さらには海外工場も対象にしてほしいという要望があった」。
 さらに今年度中に評価員の資格制度をつくる方針で、そのための検討会を立ち上げた。これにより「自社の教育にも使ってもらうとともに、日本の産業安全力を高めてもらいたい。このために我々は存在する」。センターは保安力評価システムの国際的スタンダード化を目指すとともに、国際動向の把握に努める。そのためフランス安全文化研究所(ICSI)とも連携している。
 自己評価は各社ごとに、2〜3年に1回、また工場ごとに毎年分けて実施するなどのケースが見込まれる。「これを続け、各社が自分たちで保安力向上に向けた取り組みができるようになったら、なくていいかもしれない」と、センターの役割を明確に位置付ける。
(児玉和弘)


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