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2014年04月28日 前へ 前へ次へ 次へ

人と話題 新日鉄住金化学相談役 二村 文友氏

日本鉄鋼協会「渡辺義介賞」を受賞。経験に基づき持続的成長の条件を示す


変化への対応が最大テーマ
 企業の持続的成長が話題になることが多い。かつて"産業のコメ"と呼ばれ日本の発展を支えてきた鉄にしても、それを担う鉄鋼業は時代とともに変化を遂げており、その時々に多くの"鉄鋼人"が知恵を出してきた。
 新日鉄住金化学相談役の二村文友氏は、新日本製鉄(現新日鉄住金)時代に技術開発本部長を務めるなど、長年にわたり技術面での関わりが深かった。わが国鉄鋼業発展への貢献から、日本鉄鋼協会の2014年一般表彰で栄誉ある「生産技術賞(渡辺義介賞)」が贈られた。「鉄鋼業界に貢献した人はたくさんいる。巡り合わせでの受賞だと思う」と謙虚だが、「鉄鋼業界の持続的成長のために何ができたかという復習の意味もあり、協会の春季講演大会で話をさせていただいた」という。
 「時代のニーズが目まぐるしく変化する中で、いかに対応するかが最大のテーマ。さらに設備保全やシステム、環境対策といった製造基盤の整備、また一番大事なことかもしれないが人材育成を継続的に進めること」。これまでの経験をもとに、企業の持続的成長に欠かせない条件を挙げる。
 二村氏は新日鉄時代に名古屋製鉄所勤務が長く、モノ作りの実体験を積んだ。「先輩のやることを、見よう見まねでやってきた」。同製鉄所の所長に就任した際に、地元政財界や顧客群の強い要請によるJVで始まった製鉄所だという興りを知ったというが、ここでの経験が確かな基盤になっている。
 新日鉄に入社したのが第一次石油危機の前の年。作れば売れるという"量の時代"から"質の時代"への大変革を迫られた。そのためには「個々の顧客の声に耳を傾け、いかに迅速に対応できるか」が問われるようになった。小ロット・多品種への転換の始まりであり、製造・販売・研究が一体となり顧客に対し多面的な素早い対応を図ることの重要性を「掛長時代に先輩から叩き込まれた」。
 「従来作れなかったものを安価に安定して作ることが大事であり、そのためには研究開発から実機化・安定製造に至る一貫工期を短縮しなければならない。今振り返ると、この一連の業務の調整機能を果たすことで、研究開発の実現を支援することができたと思う」と語る。
 人材育成に関しては、「製造業で働くサラリーマンは、社会に役立つ材料を安定供給することを通じて間違いなく成長するし、生き甲斐も感じている」と指摘する。その意味において、「私達製造業で働く者は『集団芸術家』を形成しているといえるし、この自覚を本格的になし得た50歳前後の部門長が若い世代に伝えていけば、人材育成も継承されていくと思う」。
 4月から取締役を外れ、「これからは本をもっと読みたい」という願望を持てるようになった。現役鉄鋼人に対するメッセージは「やはり変化を厭うなということ」と、一貫した信念を貫く。
(児玉和弘)


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