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2014年04月17日 前へ 前へ次へ 次へ

BASF北米石化担当 アルダーマンSVPに聞く

どうなる米シェール革命
誘導品輸出 PE除き動きみられず
原料価格 エタンなど見極め困難

 BASFはこのほど、米テキサス州のポートアーサー工場でエタンを原料とする第10分解炉を稼働させた。これによってエチレン生産能力は年100万トン以上拡大する。ハイディ・S・アルダーマン北米石油化学担当シニアバイスプレジデント(SVP=写真左)に原料事情や誘導品の動向などを聞いた。

 -新分解炉建設の目的は。
 「競争力のあるエタンを多く使えるようにフレキシビリティーを高めた。分解炉の数が増えたことで供給の安定性が向上し、エチレンの生産能力が年100万?以上増えた。余剰となるエチレンは外販する。メタセシス装置があるのでプロピレンにすることもできる。ポートアーサーでは、さらにエタンの活用を進める一方で、上流にあるトタルの製油所との統合を推進していく」
 -誘導品にシェール革命の追い風は吹いていますか。
 「今のところ起きていない。米国における輸出の増加はポリエチレン(PE)以外ではトリレンジイソシアネート(TDI)に少しみられるだけだ。他の誘導品はすべて減っている。プロピレンはスチームクラッカーのライトフィード化によって生産量が減ったことで、主にポリプロピレン(PP)設備のシャットダウンが進んでいる。プロパン脱水素(PDH)設備の新規稼働が予定されているが、スチームクラッカーからのプロピレン製造の減少分を補う程度の規模だ」
 -米国の天然ガス価格の見通しは。
 「価格は現状より上がっていくが、それでもアジアや欧州、豪州などに対して相対的に低い水準が続くと想定している」
 -エチレン設備の増強はこれからも続くと思いますか。
 「これまでに打ち出された1000万〜1200万トンの新増設によって、現時点に比べ北米における能力が35〜40%も増えることになる。歴史的にみて、化学産業は市況が高いときに過剰投資をして、その結果、底まで落ちることを繰り返してきた。今回は輸出環境が良いので同じではないが、様子を窺うところも出てくるだろう。計画のすべてが具体化するとは思わない。問題はどの誘導品の能力が高まるか。エチレン誘導品では増強が打ち出されたが、プロピレン誘導品にはない」
 -ブタジエンの目的生産が増えるとの見方には懐疑的です。
 「内需が落ち込んでしまった。タイヤ生産がアジアに移ってしまったのが一因。目的生産で投下した資本とコストを回収するには、ブタジエン価格が1ポンド当たり1・4〜1・5ドルで維持する必要がある。しかし、主要な方法であるブタン脱水素(BDH)の原料であるブタンは、市況にかなりの季節性がある。1年のうち何カ月かはブタン価格が高くて競争力がなくなる」
 -シェール革命の今後をどうみますか。
 「エタンクラッカーの増設によるエタン価格への影響、液化石油ガス(LPG)、液化天然ガス(LNG)ターミナル新設によるプロパン、ブタン、天然ガス価格への影響などを見極めることは難しい。ただ、今後はシェールガス田からより多くの天然ガス液が出てくる。その結果、エタンとブタンなど原料の価格差は縮まってくるシナリオはあり得る。ナフサでさえ、どこかの時点で再び好ましい原料になるかもしれない。その一方、エタンクラッカーの増設でエタン価格は上がり、エタンとナフサの価格差が縮まる可能性もある」
(聞き手=豊田悦史)
(了)


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