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2014年04月10日 前へ 前へ次へ 次へ

人と話題 資生堂学術室 蓑田裕美さん

第7回を迎えた「女性研究者サイエンスグラント」などの運営を取り仕切る
科学と社会をつなぐ役者に

 女性の活躍や科学技術イノベーションの推進を成長戦略の柱に掲げる日本にとって、女性研究者が働きやすい土台づくりは必要不可欠だ。
 資生堂は、女性研究者の将来を応援し、指導的立場の人材を育成する「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」を2007年に設立。このほど第7回の受賞者10人を選出した。第一線で活躍する受賞者が理系志望の学生らに研究の面白さや魅力を伝える「資生堂サイエンスカフェ」も11年から定期的に開催する。事務局運営やイベント企画を取り仕切るのが同社学術室の蓑田裕美(写真)さん。

 各国の女性研究者の割合は英国が38%、米国が34%などで、日本は14%と主要国で最下位クラス。出産や育児、介護などのライフイベントと研究が両立できる環境の整備はまだ不十分だ。
 資生堂の研究助成は、年齢や国籍を問わず分野も自然科学全般が対象。助成金(100万円)も、子どもを保育園に迎えに行く時間帯に研究補助員を雇ったり、学会に出席する際に託児所に預ける費用など幅広い用途に使える。歴代の受賞者は最先端分野の研究者から教育者まで多彩な顔ぶれ。日本では大学の職位が上がると女性は極端に減り、准教授は理学、農学系で11%、工学系で8%ほど。一方で、受賞者の多くはその後に昇格や栄転を決めている。
 「人と人をつなぐ仕事に就きたい」と考えてきた。大学院で学びながら国立科学博物館のサイエンスコミュニケータ養成講座を修了。入社後2年間は洗顔フォームの開発を担当し、年に念願の学術室に移った。研究成果などを広く発信する学術広報の仕事と並行しサイエンスグラントの運営などに携わる。サイエンスカフェは「受賞者にスポットライトを当てたい」と自ら発案した。
 「有機触媒を基にがんや感染症に有効な新薬を開発しています」。上智大学で3月上旬に行われたサイエンスカフェ。第6回の受賞者で、同大学理工学部の鈴木由美子准教授は自身の研究テーマを説明する。「有機触媒は元素の手のつなぎ方を変える化学反応を起こりやすくするもの」。蓑田さんは研究者と参加者の間に立ち、専門的な内容を翻訳しながら進行役を務める。
 「研究者になるには学生時代に何をすべきか」。参加者からは熱心な質問が向けられる。理系志望の学生がロールモデルを探そうにも女性研究者と気軽に会話できる機会は多くない。鈴木准教授は「できるだけ大胆なことに挑戦して」とエールを送る。これから大航海に出る「未来の科学者」には、何よりの羅針盤かもしれない。
 蓑田さんは「科学技術を分かりやすく正確に伝える学術広報やサイエンスコミュニケータの仕事は難しい。一般の方々に興味関心を持ってもらう役者の一人として頑張りどころ」と語る。美術館や書店巡り、ラジオを聴くにもメモ帳を傍らに、気に入ったフレーズやデザインを書き留める。科学技術と社会をつなぐ役者にとって、日ごろの情報収集は欠かせない。
(小林徹也)


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