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2014年03月31日 前へ 前へ次へ 次へ

人と話題 BASFバッテリー材料シニアマネジャー 藤木大輔氏

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電池材料で先行する日本に研究拠点を開設。地に足をつけた提案活動を推進

"顧客の声"に最大限応える

 「聴」という漢字の源字「聽」。耳を王にして素直に心で聴くという意味だという。BASFが昨年末開設したバッテリー材料研究所の重要な仕事が「聽」。「マーケットの新参者として技術提案し、宿題をいただき、再提案する。最も重要なものが、お客さまの声を聴くこと」と語るのは、同研究所開設の旗振りとなった化学品・農薬統括本部化学品事業部化学品営業バッテリー材料シニアマネジャーの藤木大輔氏。日本が先端をいくバッテリー分野での主要材料供給企業のポジション獲得を目指す。同事業で2020年約5億ユーロを目指すBASFの戦略的布石でもある。
 欧米拠点からの出張ベースの限界は、バッテリーの技術開発の速度と言葉の壁。「開発のスパンが長い産業であればよいかもしれないが、バッテリー開発はテンポが速く、迅速な対応が求められる」。また「深い技術知識があっても、言語や暗黙知という明文化できない壁は高く、開発現場ではお互いの理解が埋まっていくスピードこそ重要なポイント」であったことが日本でのバッテリー材料研究所開設の背景。2000年代後半から戦略を構築し、日本での設立が実現した。
 藤木氏はスイスで樹脂添加剤の研究に従事していた頃、ディスプレイなど日本の進んでいた分野への技術提案は「欧州に座っていてはできない」と痛切に感じた。「顧客がクオリティ重視からコスト重視になる転換点についても、物理的な距離があることで温度差があった」との反省も。これが研究所開設の強い動機でもある。
 BASFは現在、独、米、中に同材料の研究所を持つが、尼崎に開設した同研究所はゼロからの研究と開発の両機能を持つ。同社は正極材、電解液が主事業だが、水系SBRの技術蓄積をベースにバインダーの事業化にも乗り出した。正極材・電解液の性能向上を目的に、負極研究も行っている。
 同研究所を軸とするバッテリー材料研究チームの最も重要な仕事が「聽」。「技術的に進んだ顧客とコラボして開発を進めるキーは聴くこと」。次が「起業家精神。他社を超える提案をする必要がある。既存に捉われない創造力が問われる」。「開発営業は時間がかかる。車載用だと数年は常識。そのなかで営業だけでなく、尼崎、さらには独の研究所も含めて、チームとしてのモチベーションを上げるには、段階ごとの成功を共有すること」。グローバルの強みを発揮するために腐心していることだ。
 バッテリー材料研究所のある尼崎研究開発センターの強みは「尼崎だけでなく世界中の機器を活用できる。さらに尼崎の特性として他の事業部門の技術機能がある。有機、無機化学、電材など、これらがバッテリー材料の研究開発に補完的に効いてくる」ことだ。
 BASFは長期スパンで経営戦略をみる。「大型船が遠くに視野を持って航行するように。故にメガトレンドに対する意識は極めてシリアス」。この特性を背景に、エネルギーマネジメントの基幹技術である蓄電と、その事業化の推進役をバッテリー材料研究所が握っている。それは、日本がバッテリーの分野で世界の中心プレーヤーになることと、深くつながる。
(松岡克守)


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