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時流(上) 東洋紡 PHP買収
エアバッグ資材 世界トップへ
紡糸技術で磨きかける
東洋紡は自動車エアバッグ用のナイロン66繊維メーカー独PHPファイバーズを買収、同繊維(エアバッグ用原糸)と、それを織り込んだ生地(基布)の世界最大手に躍り出る。同社がPHPの前身である蘭アクゾからコスト競争力の高い「ノンコート技術」を導入して原糸・基布事業に乗り出してから20年余り。親代わりともいえるPHPの買収は、同事業のグローバル展開が新たな段階に入ったことを意味する。(中村幸岳)
3月末をめどに英国投資会社が保有するPHP株をポリエステル繊維大手のインドラマ(タイ)と共同で取得する。東洋紡によると、エアバッグの世界需要は年率6〜7%の勢いで伸びている。国内外の自動車メーカーが東南アジアやインド、中南米など新興国で生産を拡大するなか、エアバッグ用資材を世界各地で一貫生産する体制を整え、顧客のグローバル展開を支える。
自動車にエアバッグが初めて搭載されたのは1980年代初頭。ドイツと米国で実用化され、80年代後半には日本でも搭載が始まった。
当初は基布に耐熱性と気密性を付与するため、すべての原糸をシリコーンやクロロプレンゴムでコーティングしていた。しかし、同社は「コスト削減の観点からコートなしで気密性などを備える原糸・基布、いわゆる『ノンコート品』の時代が来るとみていた」(自動車テキスタイル事業部・加島壮郎部長)。そこで注目したのが蘭アクゾが提唱していたノンコート技術(アクゾ法)だった。
90年代に入り、東洋紡はアクゾが同技術の特許を日本で取得したことを知る。当時、同社は製品価格で競合他社との差別化を図るケースも少なくなかった。「今こそ新しい事業モデルを構築すべき」と考えた加島氏はアクゾ法の導入を社内に直訴。その熱意もあって、93年にアクゾ法の特許使用許諾契約を締結した。これが同社のエアバッグ用資材のグローバル展開の礎となった。
同社はアクゾ法をそのまま導入するだけでなく、独自のナイロン紡糸技術でこれに磨きをかけた。ノンコート原糸で基布の気密性を高める場合、いかに原糸を緻密に打ち込み隙間のない基布にするかが重要になる。従来のアクゾ法では非常に高価な織機を使い、基布1インチ当たり54〜55本の原糸を打ち込む「細密充填」が必要だった。
これに対し、同社は収縮性が高いナイロン66原糸を開発。一般的な織機で基布を織り、後工程(精錬工程)で熱をかけて収縮させ隙間を埋める手法を採用した。従来のアクゾ法に比べて基布1インチ当たりの原糸使用量を10%削減することができ、生産性も高まった。
日本で「ウォータージェットルーム」と呼ばれる安価で高機能な織機が開発されたことも、同社の優位性を高める結果となった。同社のノンコートエアバッグ基布は、90年代に国内大手自動車メーカーに採用され、爆発的に需要が伸びることになる。
(続く)