2014年1月の記事を読む
2013年12月の記事を読む
2013年11月の記事を読む
2013年10月の記事を読む
2013年9月の記事を読む
2013年8月の記事を読む
2013年7月の記事を読む
2013年6月の記事を読む
2013年5月の記事を読む
2013年4月の記事を読む
2013年3月の記事を読む
2013年2月の記事を読む
2013年1月の記事を読む
2012年12月の記事を読む
2012年11月の記事を読む
2012年10月の記事を読む
2012年9月の記事を読む
2012年8月の記事を読む
2012年7月の記事を読む
2012年6月の記事を読む
2012年5月の記事を読む
2012年4月の記事を読む
2012年3月の記事を読む
2012年2月の記事を読む
2012年1月の記事を読む
2011年12月の記事を読む
2011年11月の記事を読む
2011年10月の記事を読む
2011年9月の記事を読む
2011年8月の記事を読む
2011年7月の記事を読む
2011年6月の記事を読む
2011年5月の記事を読む
2011年4月の記事を読む
2011年3月の記事を読む
2011年2月の記事を読む
2011年1月の記事を読む
2010年12月の記事を読む
欧米化学大手、株価大幅に値上がり 事業構造転換が好感
欧米化学大手企業の株価が大幅に値上がりしている。デュポンはエレン・クルマンCEOが就任以来の高値をつけ、ダウ・ケミカルは負債処理に苦しんだ5年前の7ドル割れから昨年末には44ドル超えと盛り返した。市況に左右されやすい事業の大胆な切り離しが市場に好感されている。BASFも5年前は20ユーロをかろうじて上回る水準だったが、今年初めには76ユーロを超えた。これら企業はイノベーションとともにポートフォリオマネジメント(事業構造の最適化)が経営の中核に位置付けられている。
デュポンは昨年、酸化チタンやフッ素化学などで構成される高機能化学品の分社化を決めた。クルマンCEOは「化学におけるサイエンスは製造技術に集約される。デュポンの酸化チタンは世界で最も競争力があり、市況が底の時でも資本コストを上回る収益力がある。だが、そのアップダウンの激しさはデュポンの他の事業とフィットしない」と、株主に分社化を選択した背景を説明する。同社は昨年初め、機能性コーティング事業を51億ドルで投資ファンドに売却しており、これに70億ドルを超える高機能化学品の分社化が加わる。クルマンCEOは「各事業部門トップによる継続的な事業の剪定は行う」としており、農業バイオ、産業バイオ、安全・防護などのコア部門を含めて事業見直しが進む。
昨年末には機能性マテリアル部門のビニルアセテート事業の売却を決めた。事業構造の最適化は株価を大きく押し上げ、リーマン・ショック後の20ドル割れから3倍以上の65ドルに迫る水準で推移するまでになった。
ダウの株価もリーマン・ショックに加え、クウェート石油公社の子会社との石油化学事業合弁のとん挫、ローム・アンド・ハース(R&H)買収資金の確保などで一時7ドル近辺まで落ち込んだ。その後、4年で株価を6倍以上に上げることに成功した原動力も事業構造の最適化。とくにエポキシ樹脂や電解事業の撤退表明により、昨年4月の29ドル81セントの年最安値に対し、12月末には44ドル99セントまで上げている。
BASFも「濃霧」と前会長のハンブレヒト氏が表現した2008年後半から09年にかけての厳しい経営環境を切り抜け、09年3月の20ドルをやや上回る低水準の株価は4年で4倍近い高値となった。同社は01年から13年末までに医薬品、ポリオレフィン、スチレンなど総額100億ユーロを超える事業から撤退、一方でエンプラ、電子化学品、農業化学品など12事業を買収し、その金額は150億ユーロを上回っている。売却したのは景気変動の影響を受けやすい事業群、買収したのはよりユーザーに近い収益の安定した事業群だ。
欧米化学大手のドラスチックな動きは、日本の化学企業首脳にとって「哲学の違い」「価値観の差」と違和感を持って受け止められているようだ。株主価値を至上とする欧米、とくに米国の経営スタイルは日本的経営にはなじまないとみている。「収益が上がっている事業の売却は極めてやりにくい」(三井化学の中西宏幸相談役)のが大勢であろう。
一方、米国企業の動きを事業拡大のチャンスとみる経営者がいる。デュポンの機能素材分野のビニルアセテートチェーンを買収するクラレの伊藤文大社長は「アップストリームでの競争力の確保ができる」とみる。
ここにきて日本の大手化学企業も石油化学を中心に汎用分野を縮小、景気循環の影響が小さい事業に舵を切ろうとしている。企業価値の指標は株価だけではないが、収益力を高めていくために経営者の手腕が問われることは間違いない。
(松岡克守)