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2014年01月16日 前へ 前へ次へ 次へ

現代の錬金術を目指す「元素戦略」

 「日本のアキレス腱は?」の問いに、資源と答える日本人は多いだろう。第二次世界大戦、戦後のオイルショックで石油確保に奔走して時代は大きく転換した。最近では、尖閣問題を契機にレアアース不足に震撼が走ったことも記憶に新しい▼レアアースがこれだけ注目されるのは、ハイブリッド車など日本の先端製品が"希少元素"抜きに成立しないことがある。レアアースを含め希少金属資源は偏在し、政治的に不安定な地域が多い。量的確保、価格高騰の不安を抱えている▼「元素戦略」が話題になる機会が増えた。この戦略の出発点は、日本の科学のあり方をトップ化学者が合宿して議論した2004年の箱根会議に始まる。ここで「元素の機能を最大限に発揮することで、夢の新材料開発」が提唱された。わかりやすく言えば「希少元素を鉄やアルミ、亜鉛など一般的な元素に置き換える」挑戦である▼会議から10年を経過した元素戦略を解説した本ができた。箱根会議にも参加してプロジェクトを支えてきたJSTの中山智弘氏による「元素戦略」(ダイヤモンド社刊)は、多くの化学者のみならず政府も一丸となった科学と産業の革命"現代の錬金術"の挑戦をまとめた。紹介された中からノーベル賞受賞者、世界に展開できる新技術・製品の芽が数多く含まれていると信じたい。


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