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2013年12月16日 前へ 前へ次へ 次へ

★コンシューマーケミカル リサーチ×レビュー「衣料用洗剤」

 日用品の基幹分野といえる衣料用洗剤。この市場で覇権を握るということは企業のイメージをも大きく左右するだけに花王、ライオン、P&Gジャパンの3社は負けられない戦いと位置づける。一方、各世帯での衣料用洗剤の使用率はほぼ100%。全体の底上げにつながる新規顧客の掘り起こしが困難になっていることから、各社は消費者との関係強化に躍起だ。激しい顧客争奪戦を勝ち抜くために、技術革新や消費者への新しい提案など半歩先行く製品づくりに磨きをかけている。(高橋篤志)
 粉末、液体、超濃縮液体と各剤形で存在感を示す花王。超濃縮液体の改良新製品として8月、「ウルトラアタックNeo」を投入した。
 アニオン系の界面活性剤を主成分とする独自の洗浄成分「ウルトラアニオン」を新配合。洗浄時間が5分と従来の約半分で高い洗浄力を確保したのが最大の特徴だ。
 ファブリックケア事業グループの野村由紀ブランドマネジャーは「仕事や子育てに忙しい女性は多く、お洗濯の時間が短縮できるメリット」を武器に消費者の生活を変えていきたいと意気込む。8-11月の販売数量は改良前の前年同期に比べ約2倍に膨らんでいるという。
 香り訴求の「ニュービーズ」ブランドでは3月、全品で「フレグランスニュービーズ」へと全面刷新。「(香りブームで)伸びる柔軟剤の香りとの相性を考えた設計」(野村氏)で洗い上がりの香りを広がりやすくした。主に20代から40代女性の香りを楽しむ需要に応え、市場を盛り上げる。
 粉末では、「アタック高活性バイオEX つめかえパック」の展開を4月から全国で開始。液体では主流の詰め替えも、粉末での扱いは国内大手で初の試みだ。箱とスプーンの再利用で二酸化炭素(CO2)排出量を約60%、廃棄物重量を約90%それぞれ削減。粉末でも地球環境にやさしい詰め替え商品を使いたい消費者が増えるとみて販売を決めた。
 ライオンは、消費者のシフトが急速に進む超濃縮液体への対応に力を注ぐ。生活者のニーズについて「ニオイ汚れから白さまで確かな洗浄力を提供する『清潔・爽快』、衛生や安心を育む『除菌・抗菌』、心地よい香りをベースに洗濯の楽しさを求める『香り・仕上げ』」と、ファブリックケア事業部の山?久生ブランドマネジャーは指摘。これらを具現化した技術開発が進む。
 今春には清潔・爽快訴求の「トップ NANOX」を改良。独自の洗浄成分「メチルエステルエトキシレート」の働きを高める成分を新たに入れた。高分子の一種となる再汚染防止剤の働きによって衣類にからみついた落ちにくい汚れを引きはがすことができるため、黒ずみを防いで本来の白さに洗い上げるという。洗うたびに衣類の抗菌力が高まる「トップ HYGIA」では9月に派生商品として布製品向けのスプレーを出し、衣料用洗剤との相乗効果を生み出している。
 生産体制も見直す。衣料用洗剤の主力拠点である千葉工場(千葉県市原市)や大阪工場(大阪府堺市)では「市場の動きに合わせた製造設備への更新」(山?氏)を順次進めており、超濃縮液体で需要の伸びを取り込む。
 一方の粉末は9月、汚れや菌に加えてウイルスまで落とす「部屋干しトップ除菌EX」、加齢臭の原因物質とされるノネナールに効果がある成分を入れた「消臭ブルーダイヤ」を相次ぎ投入した。
 「粉末から液体への転換をリードしてきた」と自負するP&Gジャパンも従来の液体に加え、販売量が増える超濃縮液体の展開に本腰を入れ始めた。主力の「アリエール」ブランドを今夏に全面刷新。目玉は、花王に続き洗浄時間の短さを売りにした「アリエール スピードプラス」だ。
 界面活性剤には2種類のアニオン系と1種類のカチオン系を使用。ポリマーや安定化剤なども含めて最適なバランスで処方を組み、「時短と同時に抗菌防臭の両立が可能な製品」(広報渉外本部)の開発に成功したとしている。
 柔軟剤入りブランドの「ボールド」では、甘く濃蜜な香りを贅沢に配合した超濃縮液体「ボールド 濃蜜コンパクト」を10月上旬から出荷。アリエールとの2本立てで売り込みを強める。パッケージの配色にも工夫を凝らし、洗剤では珍しい黒を基調にゴールドやピンクを据えた。高級感といった心理的効果も狙いながら売り場での存在感を際立たせ、消費者の購入を後押しする戦略だ。
 「機能的、情緒的価値を継続的に提供していくことが大切」。ハウスホールドケアの黒木昭彦マーケティングディレクターは、商品への考え方についてこう話す。衣類表面をこすると繊維の奥に潜ませたカプセルがはじけて新鮮な香りが広がるといったグローバルイノベーションも導入しながら愛用者の裾野を広げていく。


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