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胆管がん問題を繰り返さない管理を
昨年3月に発覚した印刷工場の胆管がん問題は、化学物質管理対策に波紋を広げた。再発防止に向け厚生労働省は専門家検討会を設置、このほど報告書を公表した。発症の原因物質となった「1、2‐ジクロロプロパン」は、健康被害が懸念される労働安全衛生法(安衛法)の特別規則の対象外物質だったことで使用され、被害を拡大させた。規制されていない化学物質管理のあり方に一石を投じたことになる。
胆管がんが発症した大阪府の印刷工場の作業環境は、化学物質に対する知見が不足している人でも放置できないほど劣悪な状況だったと言われる。大阪市立大学が疫学調査に基づいて「印刷工場で全国的な胆管がん多発は認められない」とする報告書を明らかにしたように、この工場は特殊なケースだろう。一方で、あらゆる化学物質はリスクを有し、適正な管理が必要ということを改めて認識すべきだ。規制対象外を理由に安易に化学物質を使用することは戒めなくてはならない。
専門家検討会の報告書で重視したのは2点だ。まず安衛法改正を視野に入れて表示・SDS(製品安全データシート)を活用したリスク情報伝達の強化。もう一つは中小規模の化学企業、流通業者、ユーザー企業でも理解しやすいリスクアセスメントの実施である。化学物質の使用実態や曝露量を踏まえて実効ある施策が求められるなかで、健康被害の再発防止には妥当な対策だろう。
化学物質の情報伝達に関しては、国連のGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)が国際標準として定着している。安衛法では約640物質にSDS提供を義務化しているが、ラベル表示に関しては100物質程度にとどまる。ラベル表示物質が少ないのは、溶剤などの混合物が多いことが背景にある。
現場従業員に化学物質リスクを注意喚起させるには、絵文字を使ったラベル表示は有効だ。SDSを提供している物質にはラベル表示の義務付けを打ち出した。ただ、一気に640物質のラベル表示は容易ではない。曝露状況などプライオリティを付けた導入が求められる。
リスクアセスメントに関しては、日本産業衛生学会の勧告に基づいて優先順位を策定して確実に実行できる制度が必要とした。化学物質の知見が不足している中小規模の事業者でも利用できる簡易なリスクアセスメントとしてEUが開発した「コントロール・バンディング」をベースに改良、普及させる方向で実施する。日本発のアセスメントツール開発を中断した現状では致し方のない判断だろう。