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【連載(下)】 オープンイノベーション
海外連携で事業化に弾み自社の力
見極め必要
オープンイノベーションといえば、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるプロジェクトや東京大学や東京工業大学などとの産学連携といったイメージが強かった。国際的な競争が激化するなか、ここにきて海外の研究開発機関や企業と組むケースも増えている。
※欧米以外に目配り※
「現代はグローバルオープンイノベーションの時代を迎えている」。宇部興産で研究開発本部長を務める木内政行常務執行役員はこう断言する。とくに川下展開は「他社との連携は避けられない」。米ダウ・ケミカルとはリチウムイオン2次電池(LiB)用電解液で世界供給網を整えつつあり、近く中国・張家港で年5000トンの能力で生産に乗り出す予定。韓国サムスンとはポリイミド(PI)による次世代ディスプレイ基板で合弁を立ち上げている。
ただ、研究シーズに目を向けると「海外勢との連携は後手に回ってしまった」との認識。国内では山口大学、九州大学と連携協定を締結したものの、「現時点では海外の大学とは限定的」(同)。まず欧米が中心となりそうだが、「欧米以外にも目配りする必要がある」として多彩なアプローチを探る。
※新規分野進出にも※
チッソ事業子会社のJNCは、海外のベンチャーや研究開発機関との連携に力を入れているメーカーの1つだろう。増村正志副社長は「技術だけではなく、事業そのものも射程に入れている」という。「自社技術との組み合わせによる高付加価値化と、まったく新しい分野への進出」がオープンイノベーションの対象となり、ここ数年のテーマは同社が重点分野に位置付ける環境・エネルギーやエレクトロニクスと重なり合う。
最も進んでいるのが独スタルクと事業化にこぎ着けたLiB用正極材。水俣製造所(熊本県)に準商用プラントを設置した。昨年夏にはフランス原子力庁と提携し、有機系シリコンによる次世代負極材を開発中。
ユニークなのが、このほど実証実験を開始した太陽光追尾型の発電設備。米国ベンチャーの技術を導入するもので、2軸駆動による精緻なコントロールにより太陽にパネルを簡単に向けることができる。このほか、ナノテクノロジーを応用した電機・電子向け剥離・洗浄剤でも独ベンチャーとライセンス契約を交わし事業化を急ぐ。
これらの動きを支えるのが研究開発に特化した情報収集拠点網。コンサルタントを含めドイツ、フランス、米国に張り巡らす。宇部興産と同様に技術力が高まるアジアにも目を向け、オープンイノベーションでも攻めの姿勢をみせる。
※鍵を握る意識改革※
国際化が進むオープンイノベーション。各社の担当者が口を揃えて指摘するのが、「声をかけられるだけの技術を自社にあるのか、市場で存在感を発揮しているのか」(昭和電工・中條哲夫執行役員)との見極めだ。また、「同業種ではなく異業種、水平ではなく垂直連携の方がうまくいきやすい」(JSR熊野厚司上席執行役員)との見方も共通認識のようだ。
ある化学メーカー役員は、「今までの日本企業はなまじ規模が大きく体力があったがゆえに、自前主義を貫けてしまった」と指摘する。従来モデルが通用しなくなるなか、発想を根本から変えて協業による技術革新を受容できる意識に改めることがオープンイノベーションの成否の鍵を握るのかもしれない。
(了)
【写真説明】JNCは米ベンチャーの技術を導入し2軸追尾型太陽光発電設備の実証を進める