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【連載(3)】問われる保安 岐路に立つ化学産業
[知識不足がミスの原因に]
非定時対応など課題多く
※事故原因に共通項※
日本化学工業協会は2001年に保安防災指針を策定したが、プラントからの転落や機械への巻き込まれなど作業員の事故防止に重点を置いたもので、火災・爆発は対象外だった。これを憂慮した日化協は昨年10月、会員30社が参画する保安部会のほか石油化学工業協会、石油連盟、第三者の立場から学識経験者を加えた保安事故防止検討委員会を設立。実際の事故を精査するなどして火災・爆発に対応するガイドラインの作成に取り組んできた。
日化協は22日の理事会で検討委員会がまとめたガイドラインを承認、4月に会員各社へ資料を配布する予定。事故検証の過程では共通項も浮かび上がってきた。担当の春山豊常務理事は「(メンテナンスなどの)非定時作業中の事故が多く、基本的な化学知識の不足による操作ミスなど、プロの運転員であれば起こりえないことが引き金になっているケースもある」と明かす。
東ソーの事故は緊急放出弁の故障を発端に起こり、ロードダウン時に塩酸塔への対応に不備があり塩化水素に塩化ビニルモノマーが混入。触媒となる鉄錆などの存在下で混入が長時間続いたため発熱反応が進行し爆発にいたった。
三井化学の事故は蒸気供給のトラブルで製造設備が緊急停止し安全装置が作動したが、冷却速度が遅いと感じた運転員が循環水でプラントを冷やそうとして安全装置を解除したため窒素供給が止まり、温度と圧力が上昇し爆発した。
日本触媒の場合は電気・計装保全工事後にアクリル酸設備を再稼働させる際、アクリル酸液を一時貯蔵タンクに移したが、タンクの貯蔵量が一定量を超えると行う必要がある温度上昇を抑える溶液循環(天板リサイクル)を実施しなかったことで事故が起こった。
どれも基礎的なミスといえる。本州化学工業・和歌山工場長の福島俊之常務は「現場力が低下していることが事故の一因だろう。運転員の専門知識や技能が昔に比べかなり落ちているのではないか」と指摘。「かつては家庭事情もあって大学に行けない優秀な人が高専や工業高校を卒業し現場に配属されることも多かった。彼らは猛烈に勉強し大卒に負けない知識を持っていた」と70年代の製造現場を振り返る。
※変わる現場の環境※
一方、帝人の後藤陽執行役員・エンジニアリング本部長は「単純に運転員の力量不足や単純なヒューマンエラーだけで片付けられない側面もある」と分析。1製造部門のスリム化による1人当たりの仕事量増大2製品の多品種少量化3国内の新増設投資が減り臨場感のある現場体験ができなくなった-など運転員の置かれた環境は大きく様変わりし、「その積み重ねがヒューマンエラーに表れる」と語る。
そのために操作のマニュアル化が進められてきたのだが、裏を返せばマニュアルを守れば問題がないといった風土が「想定外」の事態への対応を難しくしている要因になっている。「化学業界全体で現場の作業員のスキルアップを図る方策を真剣に考える時期にきている」(大手化学メーカー幹部)といえるだろう。
【写真説明】現場力の低下を指摘する声は多い。業界全体で作業員の技能向上に取り組む必要がある(本州化学工業の和歌山工場)