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【連載(1)】 問われる保安 岐路に立つ化学産業
[大事故続き高まる危機感]
「製造が生命線」再認識を
化学工場の大事故が相次いでいる。「日本の化学産業は存亡の淵にある」と危機感を持つ業界人も多い。危険物施設の事故は1990年代から増加傾向にある。その原因は世界的な競争激化などによる過剰な合理化と無縁ではない。保安は大手企業だけでなく、中小企業にとっても最重要課題だ。次代の保安管理の処方箋はみつかるのか。業界一丸となった取り組みが始まっている。
2011年11月の東ソー・南陽事業所での第2塩化ビニルモノマー設備の爆発や昨年4月の三井化学・岩国大竹工場の接着剤原料設備事故、9月の日本触媒・姫路製造所でのアクリル酸貯蔵タンクの爆発と、相次ぐプラント事故で化学産業は社会の信用を失いかねない事態に直面している。旭化成の藤原健嗣社長は「化学は危険な産業と世間から思われている」と危機感をあらわにする。「世界の人びとのいのちとくらしに貢献する」を標榜する同社にとって安全は大前提なのだ。
※施設数減でも増加※
消防庁の調べでは、年以降の危険物施設の事故件数は年から増加傾向にある。11年には94年に比べて2倍近い585件となった。それも危険物施設数が減少するなかでの増加となっている。11年は585件で、その内訳は火災事故が189件、流出事故が396件となっているが、とくに設備の腐食・劣化による危険物の漏えい事故が多い。危険物保安室では「人材教育や設備の点検を徹底してほしい」と警鐘を鳴らす。
合成反応を行う企業は以前から操業に細心の注意を払ってきたが、東ソーなど大手企業の事故を契機に保守・安全に対する意識はこれまで以上に高まっているようだ。それは事故によるサプライチェーンの分断で損失は自社のみならず、顧客など多くの関係分野に及ぶことを目の当たりにしたからだ。
※中小企業なら廃業※
日本触媒は今期業績への影響として215億円程度と甚大な額を予想しているが、中小企業にとって事故は取引先の切り替えなどで廃業となる可能性もはらんでいる。大阪に本社を置くファインケミカルメーカーのトップは「大手化学の事故は対岸の火事ではない。明日はわが身。当社の規模では事故で会社は吹っ飛ぶ」と危機感を募らせる。また、中間体メーカーの役員は「設備は平時には操作マニュアルだけで動かせるから高校普通科出身の運転員も多い。トラブルがあれば、研究開発部門に応援を求めて何とか切り抜けている」と中小企業の厳しい現状を吐露する。
戦後68年、化学工業は日本の基幹産業に成長した。それにともなって規模の拡大やプロセスの複雑化などが進み、プラントの制御は高度化している。連続的な自動運転が可能になった一方、ノウハウの伝承がおろそかになった面は否めない。「製造が生命線」という原点に立ち返り本質を見つめ直す必要があるのかもしれない。「この苦難を業界の発展に役立てたい」。日本触媒の事故中間報告で語った池田全徳社長の言葉は重い。