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【連載 下】太陽電池 日本市場の課題
PID現象が不安要因に
業界挙げての対策が必須
現在、日本の太陽光発電(PV)市場は、メガソーラーブームの様相を呈している。発電した電力を電力会社へ売電し、新たな収入源にしようとさまざまな企業が同事業に参入。全国各地に大規模なPVシステムが設置され、稼働が始まっている。一見、順風満帆にみえるが、不安要因もある。それが日本に先立ちメガソーラーを導入した欧州で問題となっているPID(電圧誘起出力低下)現象だ。
※高電圧化が進む産業用途で発生※
PIDは、太陽電池モジュールのフレームと内部のセルとの間に高電圧ストレスが生じ漏れ電流が発生、同時にガラスからナトリウムイオンがセル表面に拡散することで表れるといわれる。高電圧化が進む産業用途特有の現象だ。日本に先駆け大規模な太陽光発電システムを導入した欧州ではPIDが要因で発電性能が低下、大きな問題となっている。日本でも沿岸部を中心にメガソーラーの建設が目白押し。対岸の火事ではすまされないかもしれない。
日本では「現在のところPIDによる出力低下の事例はない」(大手システムインテグレーター)というものの、専門家らは「今後、PIDが発生する可能性はあり得る」と指摘する。PIDによる発電量の減少は、事業者にとって利益の減少に直結するだけに死活問題になりかねない。そこで太陽電池メーカーは第三者機関による認定取得やPID耐性に優れるモジュールの開発体制を強化している。
※海外実証試験や第三者機関認定も※
国内勢ではシャープや京セラ、パナソニックが、独フラウンホーファー研究機構シリコン太陽光発電研究センターの試験で、耐PID特性を持つことを実証。海外勢ではサンテックパワーやカナディアン・ソーラーなどが第三者機関からの認定を取得し、モジュールの安定した出力特性を訴求している。
使用する部材の見直しもPID対策に有効とされる。太陽電池などの信頼性評価を行うケミトックスでは、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)やアイオノマー、オレフィン系樹脂など国内外11社の封止材を使用しモジュールを試作してPIDの実証実験を実施。EVAは各社のシートによって性能が大きく異なる一方、アイオノマーやオレフィン系樹脂はPIDに対し安定した耐性を示すことが分かった。
※モジュールなど複合的工夫必要※
しかし、PIDは封止材の変更だけで発生を抑制できるものではない。モジュールレベルではハンダ付け工程やレイアウトの工夫などが不可欠。また、システムにはトランスタイプのパワーコンディショナーを使用するなど、セルからシステム設計にいたるまで複合的な対策が要求される。PVシステムの出力低下は、関連メーカーの信用問題にかかわる以上に再生可能エネルギー全体の普及にも影響を及ぼす。今後、産業用途でのさらなる市場拡大が予想されるだけに、業界挙げてのPID対策が求められている。
(了)
【写真説明】PID耐性が認められたパナソニック製モジュール。同社は「絶縁層を用いていないことから、PIDは起こり得ない構造」と説明する。