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2013年01月11日 前へ 前へ次へ 次へ

c-LCAで温暖化対策を先導せよ

 日本化学工業協会がこのほど、報告書「国内および世界における化学製品のライフサイクル評価」(日化協レポート第2版)を発行した。化学製品のCO2削減ポテンシャル(CO2削減貢献量)を算出するc-LCA(カーボン・ライフサイクル分析)の具体的な評価事例をまとめたもの。国内外で普及する化学製品について評価を行っており、CO2削減貢献量は評価を行った14事例合計で5億1632万トンに達するという。
 化学産業は幅広い産業に製品を供給しており、化学製品を使うことで省エネ性能を高めた最終製品は少なくない。エネルギー多消費型産業であるためCO2排出量は多いが、CO2削減にも大きく貢献している。c-LCAは化学の貢献度合いを定量的に示すもので、化学製品を用いた最終製品と従来製品がライフサイクルで排出するCO2の差分をCO2排出削減貢献量として算出する。
 日化協は一昨年7月、シリコン系太陽電池、炭素繊維を使った自動車、航空機、LED電球、住宅用断熱材など9事例(国内8事例、海外1事例)の分析結果をまとめた日化協レポート(初版)を発行している。改訂版となる今回のレポートでは、低燃費タイヤ、高耐久性マンションを評価事例に追加。国内10事例、海外4事例のCO2削減貢献量を算出した。
 2020年1年間に製造される製品を製品寿命まで使用した場合、国内10事例のCO2削減貢献量は1億3057万トンにのぼる。海外の事例では、逆浸透膜による海水淡水化設備、エアコン、自動車、航空機を評価。CO2削減貢献量は3億8575万トンに達した。化学産業が地球温暖化の解決に貢献していることを改めて示した
 化学に限らずものづくり産業にとって製造時のCO2削減は至上命題。ただ、過度な削減を押し付ければ、省エネ製品や再エネ技術の普及を阻害しかねない。CO2削減を推進するには、部分最適ではなく全体最適の視点で製品ライフサイクルを俯瞰し、ライフステージのどこに削減の重点を置くべきかを政策的に考える必要がある。
 c-LCAはこの道筋を示す手法。日化協は昨年2月、c-LCAの透明性と信頼性向上を目的に「CO2排出削減貢献量算定のガイドライン」を発表しており、ICCAを通じ国際ガイドラインの策定も進められている。国連気候変動枠組み条約第18回締約国会議(COP18)をはじめ国際舞台で日本の存在感が薄れた感があるが、cLCAを基軸とした新たな視点に立ち、製品・技術で世界の温暖化対策をリードしていくことを期待したい。


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