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2013年01月10日 前へ 前へ次へ 次へ

困難な環境が長期化する欧化学産業

 欧州における化学工業の生産が伸び悩んでいる。欧州化学工業協会(CEFIC)が昨年12月に発表した見通しによれば、2013年の欧州連合(EU)における医薬品を除く化学品生産は前年比0・5%の伸びに止まる。長期化する欧州経済の停滞が影響しており、輸出がわずかな成長を支える要因になるとしている。
 CEFICは同時に、12年のEUにおける化学品生産は前年に比べて2%減少すると発表した。生産が伸びるのはコンシューマーケミカル分野だけだが、これもわずか1%の成長となる見込みである。
 12年第3四半期(7-9月期)の業績発表時にBASFのクルト・ボック会長が「第3四半期には世界経済が再び悪化し、国際資本市場では先行き不透明感が続いた。また中国の第3四半期は、前年同期と比較して成長が引き続き鈍化した。現在は横ばいで推移しているが、上向きの兆候は見られない」と述べたうえで、第4四半期の世界経済と化学品需要はいずれも上向きにはならないと予測したように、難しい事業環境が続く。
 実際、第3四半期の業績発表に際してBASFが示した12年の経済予測は当初よりも下方修正されていた。GDP成長率は2・3%から2・2%に、工業生産成長率は3・4%から2・8%に、化学品生産成長率は3・5%から2・9%に、といった具合だ。
 辛うじて輸出によって、EUにおける13年の化学品生産は増加を予測している。BRICsを中心に新興国向けに期待を寄せるが、将来を見据えるとこうした地域でも現地生産が着実に進み、競争は一段と激しくなる。中長期的には米国におけるシェールガスを原料にする競争力のある石油化学プラントの新設計画が具体化すれば、EUの化学産業の脅威になるのは間違いない。
 こういった事態を乗り切るため、成長が続く新興国市場における投資や買収、イノベーションを基軸にした革新的な製品や事業創出に向けた取り組みが活発である。大型投資を続けるランクセス、医薬品や農薬の領域で開発体制を強化するバイエル、ニュートリションの分野で相次いで買収を具体化するDSMなど、未来を切り拓くための積極的な事業戦略が目立つ。
 ただ、基礎化学品を中心に取り巻く状況が容易に好転することは期待しにくい。欧州では大型の新規設備投資が少なく、メンテナンスなどの投資が中心になっている。これからは現有設備を維持し続けることの是非も検討テーマになる可能性はある。競争力を維持・強化するための戦略は待ったなしだ。


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