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【連載(中)】苦悩する関西中小企業 手探りの海外展開
[マインドは日本人]
成否握る現地スタッフ
豊国製油の17年前の中国進出失敗という苦い経験は過去の遺物ではない。上場企業のファインケミカルメーカーであるダイトーケミックス(大阪市)は、2004年に感光性材料用原料の製造などを目的に中国・浙江省台州市に設立した全額出資の製造会社のダイトーケミックス(チャイナ)の清算を今年7月に決定。年内に清算手続きが完了する見通しだ。
※新製品量産できず※
同社は大手フィルムメーカーを顧客に持ち、銀塩写真用の化学材料を供給する有力メーカーだったが、デジタルカメラの普及による銀塩市場の縮小で業績が低迷。現在は電材関連や医薬中間体などの新規分野に進出し、事業基盤の立て直しに全力を挙げている。中国進出もその一環だったが、黒字体質を確立するまでにはいたらず撤退を余儀なくされた。
永松真一取締役・管理部長は「新製品を製造しようとしても許認可に予想以上の手間がかかり、排液処理など環境対策も重くのしかかる。それに現地での電力不足の問題もあって思うように製品が量産できなかった」と経緯を説明する。同社の9月中間決算は大手フィルムメーカーの映画用感材からの撤退を背景に業績が大きく低迷。前年同期比26%の減収を余儀なくされ、6億円近い純損失を計上してしまった。通期も大幅な赤字予想で、来期はさらに踏み込んだ変革を迫られるのは必至だ。
ダイトーケミックスの中国事業の失敗も豊国製油と同様、事前の情報収集が足りなかったことが一因といえる。では、十分な事業化調査が難しいという中小企業特有の課題を克服する方策はないのだろうか。
※親身に若者育てる※
絶縁用樹脂を製造するサンユレックなどを持つ専門商社であるサンユインダストリアル(大阪市)の田村雅昭社長は、「中小として最も重視しなければならないのは現場力のある海外スタッフの育成だ。これによってレアな現地の情報も入手できるようになる」と強調する。
同社は中国に6拠点、マレーシアに2拠点を保有し、グループ売上高は520億円。そのうち、海外事業は25%を占めており、インドへの本格進出を目指すなどしてグローバル化を加速している。そんな国際企業を標榜する同社が実践している海外スタッフの養成戦略は興味深い。
その1つが新興国の若者を中小企業ならではの心配りで親身になって育てる取り組みだ。現在、54歳になる上海現地法人の中国人総経理は大阪市立大学に留学し高分子を学んだ後、30代で同社に入社したが、社長から重要な仕事を任せられたことで親日派になり日本に帰化。現在は中国人の妻と上海に住んでいるが、日本人以上に日本人らしいという。田村社長は「外見は現地の人、マインドは日本人というスタッフを1人でも多く育てることで中小企業の海外ビジネスが大きく飛躍する可能性がある」と指摘する。
※垣根超えて連携を※
工業用ベルト大手のニッタ(大阪市)の國枝信孝社長も「日本に好意を持つ現地スタッフをできるだけ多く育てることが新興国でのビジネスには不可欠。事業部門の垣根を超えて社内で連携することも重要だ」と語る。同社は中国居住の現地スタッフを日本本社の社員として採用し、現地法人の役員候補として育てる取り組みを行っており、こうしたスタッフは事業の垣根を越えた新たなビジネスを生み出し始めている。
日本は今、新興国からの留学生が急増している。親日派を増やす地道な取り組みこそ、日頃から小回りを利かせたキメ細かなサービスを心がける中小企業が得意とするところであるはずだ。
【写真説明】海外事業を軌道に乗せるには現場力のあるスタッフ確保が必須。サンユインダストリアルは中小企業ならではのきめ細かさで人材を育成する(上海現地法人が入居するビル)