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2012年10月26日 前へ 前へ次へ 次へ

【連載】安全は全てに優先 現場力維持・向上のために(下)

業界連携で「文化」醸成

※動機付けと学習伝承に重点置く※
 安全の確保は石油化学各社における徹底的な取り組みが基本だが、プラントには共通のプロセスがあり、類似する化学物質を取り扱っている。設備、運転方法には多くの共通点がある。石油化学工業協会は会員社の保安部門の長をメンバーとする「保安・衛生委員会」を中心に課題を議論するとともに、共通課題として安全文化の強化に取り組んでいる。
 安全文化は8つの軸で構成されるが、石化協が重点を置くのは「動機付け」と「学習伝承」。動機付けでは現場の課長クラスを対象に毎年人程度を石化協会長が表彰する「保安表彰」を実施しており、「井の中の蛙とならないように安全工学会、化学工学会での発表などを通じてモチベーションの向上を図っている」。
 学習伝承は「取り組み」「経験」「情報」の3つの共有化がテーマとなる。取り組みの共有化では製品ごとの保安研究会を年17回(延べ)開き、現場管理者レベルで保安・安全確保にかかわる情報を交換。毎年10月に開催する「保安推進会議」では約100人の参加者が1日かけて各社の保安技術や取り組みに対し相互啓発を行っている。
 経験の共有化に向けては、経験豊富なOBが語り部となる「事故事例巡回セミナー」を夏と冬の年2回開催。情報の共有化では些細な事故でもその都度、背景を含めて会員間で事故情報を相互交換し共有化している。「各社は類似したプラントを持つため、同じような事故が発生する可能性がある。事故情報の共有化は未然防止に役立つ」という。

※危険認識能力磨く取り組みも※
 一方、近年の事故は今までとは違うと指摘する声が挙がっている。保安・衛生委員会では最近の事故発生状況に鑑み集中的な議論を行い、約120項目の課題を抽出。さらにワーキンググループを設けて議論を進め、新たに「経営トップによる保安懇談会」を開催するとともに、「危険認識能力の強化」「共有事故情報の深化」「KnowーWhyの認識強化」に取り組むことにした。
 最近のオペレーターは優秀だが、「基本プロセスの理解が足りない」「非定常作業時の応用が利かない」「危険なものを危険と感じる能力が弱くなっている」とされる。3つの取り組みは感性の向上などを目的に行うもので、危険認識能力の強化に向けては具体的な事故事例を題材にカンファレンス(演習)を行い「課題を認識し発見する能力を磨く」。
 事故発生件数は増えているが、件数だけをみていても真の改善は図れない。石化協は昨年4月、一定の基準で事故の重みづけしたうえで各社の実績を点数付ける「ラギングメトリックス(結果指標)」を導入した。化学プロセス安全センター(CCPS)が開発したもので「本当に良くなっているか、悪くなっているかが分かる」という。予防安全に向け弱点を可視化する指標を導入することも検討していく。(了)


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