ニュースヘッドライン記事詳細

2012年09月14日 前へ 前へ次へ 次へ

アウトルック 炭酸リチウム 内需が激減

 今年の炭酸リチウム内需は、前年と比べ3割もの減少となると予想されている。近年の需要拡大のエンジン役だったリチウムイオン2次電池(LiB)用途が、日系電池メーカーの海外生産シフトや電気自動車(EV)普及の遅れなどを受けて落ち込んでいるためだ。EVの普及次第では需要の停滞がさらに進むことも予想されており「これまで主要サプライヤーとの価格交渉で主導的な役割を果たしていた日本の地位が低下し、需要が拡大している中国・韓国勢が優位に価格交渉をしていくことになる」(商社)との懸念も広がりつつある。
 1Lico2.jpg炭酸リチウムの内需は、リーマンショックの影響で09年に1万トンを割って以降回復してきており、10年には1万4000トン、11年に1万5000トンと上昇している。しかし、今年に入って需要が停滞。12年は前年比約3割減の1万1000トンとなる見通しがでている。
 内需低迷の背景には、全体の約6割を占めるLiB向け需要の不振がある。既に採用されている携帯電話やPCなどの電化製品向けLiBは中国や韓国勢に押され、日系企業のシェアは大幅に縮小。LiB市場拡大の起爆剤として期待されているEVの普及も思うように進まず、車載用LiB製造メーカーが炭酸リチウムの在庫を積み上げており、荷動きが完全に滞っている状態となっている。さらに、その日系勢も製造拠点の海外移転を進めているため、民生向けLiBの内需はますます下落すると予想されている。
 グリースなどLiB以外の用途で拡大する見込みもないことから、今後炭酸リチウム内需の拡大はEVの国内普及次第となっている。しかし、現在流通するLiB搭載のEVも「走行距離や価格面において既存のHVなどに対する優位性がみいだされていない」(商社)ことが指摘されており、本格普及はまだ先という見方が強い。今後自動車メーカーによるLiB関連技術開発や販売戦略が本格化していくことが期待されているものの、国内における炭酸リチウム需給はゆるんだまま今年は反転上昇しない見通しとなっている。
 一方、中国および韓国での炭酸リチウム需要は、電化製品用LiB関連市場でメーカーが世界シェアを拡大して以降年々伸長しており、韓国に至っては年率20%ペースで伸びている。現在は中国経済の減速にともない炭酸リチウム市場の成長が一時的に鈍化するとみられているが、今後も需要は着実に伸長することが予測されている。両国の需要増にともなう需給タイトを理由に主要サプライヤーが値上げを打ち出すケースも増えてきており、「このまま日本で需要が縮小していくことになれば、価格交渉の上で不利な立場となり、中国や韓国よりも高く売りつけられる可能性がある」(同)と懸念されている。
 炭酸リチウムは、塩湖(かん水)や鉱石から採れるリチウム化合物原料で、昨年の世界需要量は推計12万トン。チリのSQMと独ケメタル、米FMCの3社が主要サプライヤーで、寡占的な供給状況となっている。


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.