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2012年09月05日 前へ 前へ次へ 次へ

アウトルック フェノールアジア市場 来年タイト

 フェノールのアジア需給が、来年から再来年にかけてタイト基調で推移する可能性が強まっている。需要が減退するなか新増設計画が目白押しとなっていることで供給過剰が懸念されているものの、計画の遅れが見込まれるためだ。もともと潜在的な成長率は高いだけに、需要が本格的に立ち上がってくれば、供給の増加分もすぐに市場で吸収されるとみられている。

 フェノールの世界市場は、900万トン弱。このうち日本を含めたアジアが半分の420万トンを占める。2010年はリーマンショックからの回復分もあわせ世界市場は8%の伸びを見せたが、欧州ソブリンリスクの拡大や中国の金融引き締めの影響などで11年はほぼゼロ成長。近年の成長のエンジン役を果たしているアジアも3%台の成長に止まった。さらに今年も世界的な経済減速懸念や中国市場の冷え込みを受けて2年連続での需要頭打ちが予想されている。フェノール樹脂をはじめ、ビスフェノールA(BPA)を通じて供給されるポリカーボネート(PC)樹脂、エポキシ樹脂などが軒並み需要不振に陥っている。
 ただ、フェノールは、各誘導品を通じ、自動車、OA・電子、建築など幅広い需要のすそ野を持ち、潜在的な成長率は4〜5%はあるとされている。アジアの場合、さらに効率の成長が中長期的に期待できる。事実、足下では買い控えの動きから在庫水準が低下、秋口からにも需要が回復に転じるとの見方が広がっている。全体景気の動向にもよるが、年末から来年にかけて、需要が本格的に回復する可能性は十分にある。
 一方、供給面は、アジア地域で新増設が数多くアナウンスされている。11年に原料との価格差が史上最高幅となり、フェノール事業の魅力が一挙に増したことから、拡大・参入の動きか一気に拡大しつつある。
 主な計画は、12年はキングボードの年19万トン設備(江蘇省揚州)と韓国・LG化学が年末に増設を予定しているくらいだが、13年には中国石油化工総公司(SINOPEC)-三井化学25万トン(上海)のほか、燕山石化13万7500トン(北京)、山東省政府系企業22万トン(山東省東営)が打ち出されている。さらに14年以降には、中国石化-イネオスによる40万トン(南京)、スペインのセプサの25万トン(上海)と40万トン(南京)の2計画、台湾化学繊維の30万トン(寧波)、同じく台湾の長春グループの20万トン(江蘇省常州)、タイのPTTフェノールによる25万差トン設備増設と既存設備の5万トン増強があるとされる。これら設備が短期間にすべて立ち上がってくれば、需要が回復しても需給の緩和は防ぎようがない。
 しかし現実には、確実に立ち上がるのは三井化学らの上海計画くらいで、原料ネックなどから早期の実現は難しいといわれているものが多い。イネオス計画は現在のところ音なしだし、長春も遅延気味と観測される。また原料を欧州から持ち込むセプサ、プロピレンの手当てに難がある山東省計画は競争力の点でも難しさが言われる。
 通常は20万〜30万トンの流入がある欧米玉もベンゼン価格差の問題などから当面はアジアに入ってきそうにない。
 こうした状況から、フェノールのアジアにおける需給は、需要の回復とともに来年は引き締まり基調で推移するとの見方が有力となっているのが現状だ。
 



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