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2012年06月22日 前へ 前へ次へ 次へ

AN中国市場 スポット取引が消滅

 【上海=白石孝祐】アクリロニトリル(AN)の中国市場が、一段と弱含んでいる。5月下旬にはスポットで1トン当たり1800ドル台(CFR中国)を保持していたものの、6月上旬には中国国内価格が同1000元程度下落した。川下需要が振るわないなか、中国の需要家はもう一段の値下げを期待しており、結果として「足元では中国のスポット取引が成立していない状況が続いている」(市場関係者)。
 繊維製品が内需、輸出とも苦戦しているほか家電も伸び悩んでおり、川下の稼働率は、アクリル繊維で60%程度、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂で60〜65%とみられる。域内メーカーは中国国内を含め一斉に減産に入っており、スポット取引が成立しない点と合わせ昨秋同様の状況。
 ANは、アジアでは大半が長期契約ベースでの取引となっている。需要が大きく落ち込む状況を受け、ANユーザーはスポット取引をやめて長期契約分の引き取りを優先している。
 ANの中国スポット市況は年春、史上最高値となる1トン当たり2800ドル前後まで上昇した。その後、中国の金融引き締めや欧米経済の減速懸念などからABS樹脂の需要が減速したこともあって市況は反転下落。秋に入って域内メーカーに減産が広がり、スポット取引も停滞した後、再び上昇に転じた。12年に入って一時は同2000ドル台を回復していた。
 経済全体の不透明感、さらには欧州債務危機をはじめとした世界経済の停滞から、中国の製造業の成長率は総じて鈍化している。工業情報化部のまとめによると年1〜4月の累計販売額は前年同期比9・6%増、累計輸出額は同5%増となるなど、主要指標の伸びが2ケタ台から1ケタ台に縮小した。繊維製品の販売も振るわず、国内販売では総売上高が前年同期比14・8%増となったものの、伸び率は前年同期に比べ17・5ポイント低下。輸出額は同1・1%増にとどまったうえ、輸出数量はマイナスに転じている。
 「現状1トン当たり1500ドル程度では、まったく採算が合わない」(市場関係者)状況で、スポット取引が成立していない。需要後退を受け昨秋同様、域内ANメーカーは一斉に減産に入った。中国国内では撫順石化と吉林石化が定修中。足元の中国市況も採算ラインを割っていることから、中国メーカーでも減産の必要性が強まっているといわれる。
 ただ昨秋同様の状況から、市況は早晩、上昇に転じるとみられている。繊維では例年、下期は中国国内向けが中心となっているほか、省エネ家電に対する消費刺激策が打ち出された。これらを材料としたANの需要回復に期待が高まっている。


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