米 NGL急拡大 5年後4割増 エチレン増産の原動力に
米国でエタン源となる天然ガス液(NGL)の生産が活発化している。天然ガス価格が低水準にあることから、付加価値が高いNGLを多く含むガス田へ生産活動がシフトしているためで、石油エネルギー技術センター(JPEC)のまとめによると、今後5年間で現状の4割もの増加が予想されている。これに対応した供給・分留インフラへの投資計画も相次いで打ち出されており、安価なエタンを原料とした米石油化学産業復活への基盤は一段と厚みを増していくことになりそうだ。
NGLは、ガス田から天然ガス(メタンガス)とともに生産される炭化水素副産物の総称。JPECでは、このほど行った技術開発・調査事業成果発表会における北米シェールガス・シェールオイルの動向とわが国への影響についての報告の一環として、米国が急速にNGLの増産に向かっている実態を明らかにした。
背景にあるのは、米国内における天然ガス価格の低迷。熱量換算で原油の8分の1程度にまで落ち込んでおり、米天然ガス生産大手のチェサピークをはじめ、生産者は開発の矛先を、メタン中心のドライガスから、相対的に付加価値が高いNGLを多く含むウエットガスへシフトしている。この結果、現状では日量200万バーレル強のNGL生産量は、今後5年間で同95万バーレルも拡大するとみられている。
拡大するNGLを石化原料として活用するには、供給能力の増強と、ここからエタンなどを得る分留装置の新増設が必要だが、すでに2014年末までの建設を予定しているものが、パイプラインで日量120万バーレル以上、分量能力で約同100万バーレルもある。
こうしたなかエチレン生産能力も、17年までに年600万トン以上と大幅に増強される見通しだが、JPECではNGLの増産が国内需要の増加を上回る勢いで進展すると指摘。20年の時点で、米国のNGL輸出余力は日量約40万バーレルで、内訳はエタン同11万バーレル、プロパン同24万バーレル、ブタン同5万バーレルとなるとみている。
NGL増産を背景にした安価なエタンは、米エ石化産業の国際競争力向上の源泉となる。JPECでは、米国は当面、エチレン換算で400万〜500万トン近い高水準でエチレン誘導品の純輸出を続けると想定しており、アジア市場で日本と競合する可能性を示唆している。
{米エネルギー情報局資料から表作成}