連載3 エネルギーを作り出せ 希土類、熱電発電に生かす
低廉で環境負荷が小さいエネルギーをいかに作り出すか。新エネルギー分野は化学メーカーにとって、社会貢献だけでなく新たなビジネスチャンスとみて技術開発に力を入れている。電池材料はもちろんのこと、さまざまなアプローチを試みている。ここでも各社が蓄積してきた材料技術などが生かされている。
。
※焼却炉の排熱から※
熱を直接電気に変える「熱電発電」という手法で新たなエネルギー源を得ようとしているのが昭和電工だ。熱電変換素子に使う半導体材料はレアアース(希土類)系合金で、同社が得意とする磁石合金の技術が生かされている。その製造にはストリップキャスト法(急冷凝固法)を有効活用。モジュール化にはアルミニウム事業の熱交換器のノウハウが生かされている。
熱電発電の対象となるのが未利用エネルギー。同社によると、国内で供給されるエネルギーの約7割は「未利用のまま大気中に放出されている」。その多くは焼却炉や製造装置、自動車などに由来する。いずれも身近にありながら手付かずの分野だ。既存発電技術と遜色のない10%超の変換効率を達成すれば、身の回りにはたくさんの電源が表れることになる。
同社は中温域といわれる300〜600度Cを狙い、焼却炉の排熱を利用して発電する実証試験を推進中。変換効率は7%超える水準までになった。
※DSC、高効率に※
多くの企業が太陽電池の開発に取り組んでいるなか、新日鉄化学は色素増感型太陽電池(DSC)の実用化を目指している。DSCは色素が光に反応する際に出す電子の動きを利用したもので、太陽電池の新たな可能性を引き出す技術として活発な開発が行われている。同社は九州工業大学などと連携し、室内光で13%を超える高い変換効率を達成した。
同社のDSCは色素に酸化チタンを使うことで、透明導電膜(TCO)を不要としたのが特徴。色彩デザインが制約を受けないうえに、基板材料に樹脂を使うことによって柔軟性も付与でき、壁など利用範囲の拡大が見込める。目下の課題は「どのような製品へ応用できるか」(同社)の一言に尽きるようだ。「2次電池と組み合わせれば、携帯電話の充電器にも使えるかも」と将来の夢は膨らむ。
※クリーンなDME※
1.jpg)
三菱ガス化学は世紀の新燃料とも呼ばれる「ジメチルエーテル(DME)」の普及に取り組んでいる。現状はスプレー噴射剤が主力用途だが、水素と炭素があれば合成でき、天然ガスや石炭、バイオマスからも製造可能なことから軽油などの代替燃料として期待される。さらには「燃焼時にすすが出ない」(水谷誠取締役常務執行役員)という環境負荷も小さいクリーンエネルギーだ。
5年前に同社は伊藤忠商事などと組み、DMEの製造を手掛ける合弁会社を設立。年産能力8万トンの能力を持つ設備を新潟工場に設置して事業化を進めている。従来の軽油やLPガスの代替・補完のほかに、水素に変換できる特徴を生かし燃料電池分野への展開も有望視されている。
【写真説明】
上 昭和電工は熱電変換モジュール(写真)を使い焼却炉の排熱から発電する実証試験を推進中。
下 三菱ガス化学・新潟工場のDMEプラント。クリーンエネルギーとしての期待がかかる。