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2012年05月01日 前へ 前へ次へ 次へ

日本の土地制度の綻び

 政府が先に発表した沖縄県石垣市などの離島23カ所の国有財産化問題を、唐突に感じた人も多い。しかし「国土」についての国民の関心を喚起する材料にはなったようだ▼東京財団によると、日本の土地制度の綻びが国土の安全保障を危うくしている最大の要因という。山林に限れば、所有者の4人に1人が地元に在住しない「不在地主」で、行政は所有実態さえ把握できないのが現状らしい▼土地の境界や所有者を確定する地籍調査が完了しているのは、全体の49%という数字がお粗末な現実を物語る。国土法に基づく土地売買届け出の捕捉率も鮮明ではない。農地以外の土地の売買規制がないことが、その背景にある。これが、行政が所有者を特定できない"触れない土地"を生み出す▼この間隙をぬうように、外資による山林などの買収が進んでいる。その正確な実態は不明だが、一部自治体では水源問題が絡んでこじれているケースもある。相続にともなう売り物件が全国で発生、価格が低迷していることもあり、買い手市場が続いているようだ。相続不明を理由とする財産管理人の選任事件数も1万4千件(2010年)と、この10年でほぼ倍増している▼どうも、国土についても「失われた時間」が過ぎている。日々の暮らしの大事な基盤である大地の制度改革が急務だ。


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