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2012年04月18日 前へ 前へ次へ 次へ

連載N04 日本のワクチン産業 新たな地平線

「サノフィパスツール 世界のワクチントップの戦略」
 サノフィパスツールは、ソーク株を用いた不活化ポリオワクチン(IPV)を今年2月に厚生労働省に製造販売承認申請、また腸チフス、髄膜炎菌性髄膜炎のワクチン開発に着手した。同社は第一三共との合弁「サノフィパスツール第一三共ワクチン」を解消後、10年11月に完全子会社化して日本でのワクチン事業拡大に乗り出しているが、今後はIPVなどの販売体制構築がポイントになる。単独IPVは4月19日の薬事・食品衛生審議会医薬品第2部会で承認了承された。
 同社がこれまで日本に導入していたワクチンは黄熱病ワクチン(検疫所対象)とサノフィパスツール第一三共で開発したHibワクチン「アクトヒブ」(第一三共が販売)の2品目。単独のIPVは経口生ワクチン(OPV)からIPVへの転換を進める日本政府の要請を受けて開発してきたもので、仏の日本専用ラインで製造、日本でパッケージングする。
 小児マヒの予防ワクチンはOPVと注射剤のIPVがある。日本では日本ポリオ研究所のセービン株を使用したOPVのみ承認されているが、OPVにはワクチン関連マヒといった副作用が報告されており、そうした問題がないIPVが世界の主流。厚労省がOPVからIPVへの転換を図るのも安全性を考慮してのこと。
 日本では、阪大微生物病研究所(阪大微研)、化学及血清療法研究所(化血研)が日本ポリオ研究所のセービン株のIPVとの4種混合ワクチンを開発していた。しかし、その承認までOPV接種を控えDPTのみ接種する例が増え、実際、昨秋のOPVの集団接種率は75・6%(厚労省発表)と低調だったし、IPV輸入の動きもあったほど。DPTのみの接種例にはIPVの追加接種が必要とされたのが厚労省が世界で2億8000万本の接種実績を有するサノフィパスツールに単独IPV開発を要請した理由。
 阪大微研、化血研はそれぞれ、昨年12月、今年1月と相次いで4種混号ワクチンを厚労省に申請している。サノフィパスツールの単独IPV申請は今年2月だが、異例の速さで承認されることが明らかになった。承認後は、DPTは接種したもののOPVは接種を控えていたケースで単独IPVが追加接種されるが、IPVとDPTワクチンの基本は4種混合の接種になるとみられる。
 サノフィパスツールもDPTとの4種混合ワクチンを第一三共との合弁会社で開発してきており、現在フェーズ3試験に入っている。海外ではほぼ全てが4種混合ワクチン接種となっており、単独IPVが承認されようとしている日本の状況は異例だ。
 同社は、ワクチン事業で今後4年間に単独IPV、4種混合、そして髄膜炎菌性髄膜炎、腸チフスの4つのワクチンを日本市場に導入すること狙っている。サノフィパスツールはグローバルなワクチン事業で、インフルエンザ、小児用混合、髄膜炎、渡航者用ワクチンの4つのカテゴリ―でのリーダを維持していく方針だが、日本のワクチン事業でも同様な基本戦略を展開しようとしている。日本での課題は、販売体制に移っている。単独IPV、IPVとDPT4種混合ワクチンの販売体制は未定。4種混合ワクチンの販売は、サノフィ・アベンティス、第一三共、北里第一三共ワクチンとの調整を待つことになる。
(続く)


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