レアアース調達 環境改善なるか 日米欧、中国をWTO提訴
日本は米国、欧州連合(EU)とともに、中国のレアアース(希土類)輸出規制について世界貿易機関(WTO)に提訴した。レアアースは電子、自動車など日本の製造業に欠かせない素材。ほぼ全量を中国からの輸入に依存しているだけに、中国の規制強化は安定調達の足かせになっていた。WTO提訴を受けて、レアアース磁石合金を製造する昭和電工は「自由公正な取引の実現に向け、事態が進むことを期待したい」とコメントした。
提訴の対象はレアアースのほかタングステン、モリブデンが含まれる。中国の輸出規制をめぐっては、先に米国などがWTOにボーキサイトなど9品目の鉱物資源で提訴、1月30日にWTOは協定違反との最終判断を下した。これを受けて、日米欧は同様の輸出規制を行っているレアアースについても提訴に踏み切った。日本が中国に対してWTOに提訴するのは初めて。
WTO協定では、まず2国間の協議が義務付けられている。期間は提訴から最低でも60日間で、協議が行われなかったり、当事者間の合意が得られない場合にWTOパネル(第1審)に付託される。
中国側は商務部が「中国の政策が目標とするのは資源および環境の保護を通じた持続可能な発展であり、貿易手法をねじ曲げて国内産業を保護する意図はない」との談話を発表。外交部は定例会見でこの問題に触れ、「資源および環境保護の観点から輸出だけでなく採掘、生産それぞれの段階で管理を行っている。これらの措置はWTOルールに沿ったものだ」との立場を表明した。また、他の資源国が開発を進め共同で供給責任を果たすべき、レアアース資源の利用効率向上などで各国との連携を強めていきたいーとしている。
中国の日系商社はTWO提訴について「レアアースの輸出、市場に与える影響は大きくないだろう」と冷静に受け止めている。価格の高止まり、輸出が厳しい現状は「中国が生産を絞ったこと」が背景にあり、「たとえ輸出許可(E/L)枠を撤廃しても状況に大きな変化はない」とみる。ただ、「今年1回目のE/L枠がみかけ上、昨年と同水準だったのはWTO提訴を見越した準備だったかもしれない」と推測している。