ビジネスで存在感高めるLCA活用
商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るライフサイクル全体を通した環境負荷を定量的に算定し、環境影響を評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)の活用が広がっている。わが国でもLCA手法を用いてライフサイクル全体で排出されるCO2量を算出するカーボンフットプリント(CFP)事業が始まっている。CFPはCO2に絞っているが、水の消費を対象にしたウオーターフットプリント(WFP)の国際規格策定も進んでいる。さらには世界最大の小売り企業である米ウォルマートが主導するサステナビリティ・コンソーシアムが動き出している。これらの規格策定は欧米主導で進んでおり、日本企業の取り組みは後追いになりがちだ。
1992年の国連環境開発会議(地球サミット)を契機に、ルールに基づく定量的な評価手法を確立するLCAの開発が本格化した。ビジネスにLCAの手法が導入されるようになったのは最近だが、今年末にはISOによるCFPの国際規格の発行が予定されている。
CFPは原材料・部品の調達、製造、流通、消費・使用・維持管理、廃棄・リサイクルの全サイクルのCO2排出量を「見える化」する。経産省の進める試行事業には大手流通企業、食品や日用品メーカーなどが参加して、非耐久消費財から導入が進んでいる。また検討中のスコープ3では、従業員の出張や通勤などによるCO2排出量など、より詳細なデータが要求され、企業の負担は大きくなる。
WFPはCO2に代わって水の消費量を「見える化」する。日本は水資源が豊かだが、農畜産物や工業製品などを海外で生産する際に必要な水、いわゆる「ヴァーチャル・ウオーター」を含めると水の自給率は低下する。水の消費の定義、客観的評価手法の検討が始まったところだが、今後の議論を注視する必要がある。
ウォールマートの進めるサステナビリティ・コンソーシアムは、日本企業のビジネスにもインパクトを与えそうだ。持続可能な消費と生産を定量化するため?気候・エネルギー?原料・天然資源?生態系・人間の健康?人間・地域社会の4つの視点で評価する。化学も含めて世界の有力製造企業がメンバーになっている。環境負荷の定量化にとどまらず企業の社会的責任まで踏み込むことが特徴だ、
日本企業は優れた製品・サービスの技術開発では先行するが、ビジネスでは苦戦すること多かった。この原因にISO規格など国際標準化で主導権をとれなかったがある。LCAを利用したビジネスが本格化するなかで、規格戦略が問われている。