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2012年02月20日 前へ 前へ次へ 次へ

UMNファーマ ワクチン開発に特化 アジア展開も

 UMNファーマは、バイオ医薬品の次世代製造プラットフォームであるBEVS技術をベースにワクチンの臨床開発に特化する方針を鮮明にするとともに、インフルエンザワクチンのアジア展開に乗り出す。同社はインフルエンザワクチンのパイロットプラントを秋田に完成させ、岐阜には経済産業省の補助金を受けて商業プラントを建設、さらにフィンンランドのタンペレ大学からノロウイルスとロタウイルスの混合ワクチンの全世界での独占的事業化権を取得するなど開発品も増やした。中国、韓国などでは日本の製造拠点を活用したパートナリングを求めていく。
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「次世代製造プラットフォーム BEVSでインフルエンザワクチン事業化」
 BEVSは、米国のプロテイン サイエンス コーポレーション(PSC)から導入したもので、昆虫のヨトウガ細胞を宿主とし、外来遺伝子を導入するベクターにバキュロウイルスを用いたたん白製造技術。UMNがBEVSをベースに開発してきたのは、鳥(開発コードはUMN-0501、P2終了)、季節性(3価、UMN-0502、P3準備中)の両インフルエンザワクチン。いずれもアステラス製薬と共同開発中。
 厚労省は鳥インフルエンザのパンデミック対応策として細胞培養法によるインフルエンザワクチン製造設備に助成金(対象4社)を出した。それらの設備はウイルスそのものを利用する。それらの技術と異なりBEVSでは抗原たん白質の遺伝子をヨトウガ細胞に導入しそのたん白質のみ作製するので、製造にウイルスを用いることがなく、製造時の安全性が高い。このことが次世代の細胞培養法ワクチン製造技術として評価される所以でもある。
 製造ではIHIとの合弁のUNIGENを設立、秋田に600リットルタンク3基によるパイロットプラントを建設、完成させた。マウスを用いた免疫活性をみる試験では米国品と同等以上とのデータを取得、現在は安定性試験を進めている。
「商業化プラントは約2万リットル4基」
 開発、販売ではアステラス製薬との提携が成立、開発は共同、販売はアステラスが独占、製造はUMNと役割分担は明確。厚労省の助成金を受け取ることができなかったが、アステラスとは事業続行で合意し、新たな資金として経産省の補助金を活用した。ワクチンの注射剤製造はアピ社と契約しているので、UNIGENが13年度中完成を予定する商業化プラントを岐阜の揖斐郡にあるアピの工場に隣接して建設することになった。資金は経産省の補助金48億円(アピ社分との合計)と借り入れが主になる。商業化プラントは第一期に21000リットルタンク2基を建設、順次タンクを増設し最終的に4基揃えるが、その段階で2500万〜3000万ドーズのワクチンを製造できる。
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「世界初のノロ、ロタ両ウイルスへの混合ワクチン獲得」
 同社は、パイロットから商業化までの製造体制が整うことでワクチン臨床開発に特化することとし、今回タンペレ大学からノロウイルス・ロタウイルス混合ワクチンを導入した。同混合ワクチンはバキュロウイルス系を使っており、BEVS技術を適応できる。製造する混合ワクチンは、ノロウイルスのウイルス様粒子(VLP)とロタウイルスたん白質VP6を混合したもの。アジュバントは含まない。
 同大のワクチン研究センターは、ワクチンの臨床試験機関として世界的に著名であり、現在も20本もの試験を走らせている。フェーズ1/2試験は同センターで13年からスタートさせる。当初、成人で試験をスタートさせてから小児、高齢者に広げる。フェーズ2までは単独も早い段階からパートナーと組むこともありえる。当面、ノロ、ロタの混合ワクチンの治験サンプル製造は外部委託するが、早期に秋田で製造する考えであり、秋田と岐阜の使い分けも念頭に入れている。
 ロタウイルスワクチンはグラクソスミスクライン(GSK)、メルクが実用化、日本でも先ごろ承認、発売となったが、いずれも生ワクチンである。ノロウイルスワクチンは実用化されておらず、米国のリゴサイト・ファーマシューティカルズがVLPを成分としたワクチンのフェーズ2試験中であるのみ。GSKが同社に資本参加している。
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「中国、韓国などアジアへの取り組み開始」
「たん白質製造受託も」
 UMNは、インフルエンザワクチン事業のアジア展開を目指し、PSCから中国、香港、台湾、韓国、シンガポールでの権利を2年前に取得していた。韓国は細胞培養ワクチンについてSKケミカルがプラント建設を進めるなど複数社が拡張、新規計画を有しており、関心が高い。中国とも複数社とコンタクトし始めている。
 秋田、岐阜とも当面はワクチン製造に使うが、将来はたん白質の受託製造にも乗り出す考え。BEVSは、たん白質の研究に利用するところも多い。課題は抗体など糖鎖が活性に影響する糖たん白質製造への適応性。昆虫細胞を利用するので、糖鎖は酵母と動物細胞の間に位置するので、構造的に最適かどうかを検討することになろう。


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