機能性で世界を牽引するヨウ素産業
原油をはじめ多くの資源を輸入に頼っている日本だが、生産量世界2位を誇る天然資源がある。ヨウ素(ヨード)だ。2010年の世界の生産量2万5500トンのうち、1位のチリが51%、2位の日本は37%、3位の米国が6%、中国やロシアなど6%と偏在している資源である。約9400トンの日本の生産量のなかで78%が千葉県で、宮崎(12%)と新潟(10%)などが続いている。
ヨウ素といえば、うがい薬に配合されているポビドンヨードや、福島第1原発事故で放射線障害予防薬として話題になった安定ヨウ素剤といった医薬品原料としてよく知られているが、それ以外にも、レントゲン造影剤、樹脂安定化剤、抗菌剤、触媒、液晶ディスプレイに使う偏光フィルムなど幅広く利用されている。だが、液晶ディスプレイのような電子材料は技術革新が早く、製品のライフサイクルは短い。ヨウ素の原料メーカーとしても常に研究開発や新規需要開拓の手を緩めることはできないはずだ。
合同資源産業はさきごろ、千葉事業所(千葉県長生村)に中規模実験設備を完成させた。有機ヨウ素製品では機能性材料の合成触媒の製造プロセス開発を目指すほか、有機ヨウ素関連で、医薬・液晶材料の原料となる芳香族ニトリル化合物の製造プロセス開発を行う。ヨウ素の特徴ある機能を活かした新製品開発にも取り組んでいる。
関東天然瓦斯開発は、オーミケンシ、江崎グリコとヨウ素を結合した使い切り抗菌マスクを共同開発、先ごろ発売した。オーミケンシと江崎グリコが開発した機能性繊維に、関東天然瓦斯開発が独自技術でヨウ素を包摂化させたフィルターを利用している。これからも日本企業の研究開発力や技術力で、ヨウ素をフル活用した新しい製品や技術の登場を望みたい。
一方で、天然資源には限りもある。ヨウ素の世界埋蔵量は最低でも200年分はあるとみられているが、貴重な資源を有効利用するという観点からも回収・リサイクルが重要である。すでに、レントゲン造影剤や偏光フィルム製造浴などの使用済み廃液から、ヨウ素を再抽出する回収・リサイクルも次第に増えてきているという。
合同資源産業、関東天然瓦斯開発、日宝化学、伊勢化学工業といった国内屈指の企業が率先してリサイクルに取り組んでいる。ヨウ素供給量の3割弱がリサイクルされているようだが、引き続きコストダウンを進めリサイクル量を増やせるよう技術を磨くことも肝要であり、ヨウ素のリサイクルにおいても、世界の先頭集団を走り続けることを期待したい。