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2012年01月25日 前へ 前へ次へ 次へ

植物に不可欠なオーキシン

 地に根を張る植物は、自ら動けないという宿命を背負っており、周囲の環境条件にうまく適応することで成長する。この営みのメカニズムがいまだ十分に解明されていないということを最近知り、植物に対する見方が少し変わった▼植物にはオーキシンと総称される成長促進ホルモンがあり、例えば、主根が枝分かれして生じる側根が成長を始める際は、必ず先端にオーキシンが蓄積される。葉や花などが成長するときも同様のことが起こっているという▼オーキシンの蓄積は新しい器官形成の引き金になるが、この輸送にはPINたん白質と呼ばれる物質の分布勾配が関与すると考えられている。しかし、それを細胞がどう決定し、異なる器官を通してどう制御できているのかなど詳しいことは分かっていない▼現象の背後にあるものを科学的に突き詰めていくのは大変な作業であり、これが人間の体のことになると複雑さのレベルが違ってくるのだろう。しかし、こうした地道な研究の蓄積こそがイノベーションの源泉になる▼厳しい寒さが続くなか、近くの公園にある蝋梅の黄色い蝋細工のような花が見頃になっている。甘い芳香を発するこの花も、オーキシンが関与して咲いたのだろうと、蝋梅が梅の仲間ではないことをつい最近知った頭で考え、生命の神秘に思いを馳せる。


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