期待集める超臨界ナノ材料技術開発
有機・無機のような異種の材料を複合したハイブリッド材料に関心が集まっている。技術開発、事業化を加速するには材料と電気・電子デバイスなどの企業間連携に加えて、大学や公的研究機関などが参加した産学官連携で開発のスピードアップが求められる。そこで化学研究評価機構(JCII)が「超臨界ナノ材料技術開発コンソーシアム」の結成を呼びかけたところ、素材から自動車、電機、機械など幅広い企業から参加希望が寄せられている。緩やかな連携で進めるコンソーシアムは4月に発足、研究開発の拠点は東北大学に開設する「仙台マテリアルバレー(仮称)」で、東日本大震災からの復興に一翼を担うことも期待されている。
日本の化学企業は高機能材料・部材に強みを持っており、今後の成長戦略にも位置付けている。このなかで、絶縁性と耐熱性というトレードオフの機能を獲得するため有機材料と無機材料をナノレベルで複合化したハイブリッド材料は、研究開発コストが少ない割りに、高機能材料を生み出す可能性が大きいとされている。このため材料メーカーと半導体、光学、ディスプレイなどユーザー企業が協力して摺り合わせながら技術開発を進めている。このほかポリマーとセラミックのハイブリッド材料の実用化によって熱伝導率を10倍改善、電気自動車用パワーデバイスの熱問題の解消にもつながると期待されている。
超臨界ナノ材料技術開発プロジェクトは2007年度にスタートした。東北大学の阿尻雅文教授を中心に新日鉄化学など化学関連7社、プロセス開発のための連続式超臨界水熱処理装置を開発したアイテックが参加、JCIIが事務局になり技術開発を進めた。プロジェクトは2月に終了するが、実用化研究を加速するためコンソーシアムの結成することにして幅広い企業の参加を呼びかけた。
昨年11月に開催した説明会を契機に参加希望が相次ぎ、50社程度が予想される。参加企業は東北大学が知的財産権を有するナノ粒子修飾技術に基づき、アイテックの開発した装置を使って超ハイブリッドのサンプル材料の試作・評価・分析技術、ナノ粒子の分散技術などを共同研究で進める。
この研究の中核を担うのが仙台マテリアルバレーで、先に成立した第3次補正予算の15億円を含めて23億円規模を投入する。東北大学は材料分野で世界的な強みを持ち、「アンダー ワン ルーフ」の理念に基づいて産学官のオープンイノベーションを推進する。東北地区における新産業・雇用創出を実現するとともに、産業競争力の強化に貢献してもらいたい。