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2011年10月17日 前へ 前へ次へ 次へ

【持続成長と化学の力】(8) 東ソー 宇田川憲一社長

 東日本大震災は日本のモノづくりの強さと弱さを浮き彫りにした。東ソーの宇田川憲一社長は、日本の化学産業の世界市場における重要性が認識できた半面、それに見合う利益を享受できていないと問題にする。続いて発生した電力問題や円高は新たな国内投資を難しくしていると指摘、基幹事業のビニルイソシアネートチェーンも海外立地を選択肢にせざるを得ないという。

※「川上」の代替困難※

 - 震災後の製品需給の状況をどう評価しますか。
 「今回の震災でサプライチェーンがはっきりとみえた。自動車部材の供給メーカーは世界市場につながっている。日本の化学産業は重要なポジションを占めている。その半面、十分な利益が得られていない。セットメーカーは部材の複数購買を行っていたが、川上に行けばいくほどソースは絞られていく。原材料を替えようにもユーザーの承認が必要なため、簡単にはいかない。そういった困難はあったが、サプライチェーンの回復は意外と早かったというのが実感だ」
 「当社に関連した製品でいえば、カ性ソーダ、次亜塩素酸ソーダなどがなくなり騒がれたが、もともと大きな量ではないためすぐに沈静化した。鹿島コンビナートの被災などにより、副資材の供給が止まったなどの影響もあった」

※電力・円高が重し※

 - 福島第1原子力発電所の事故で電力問題が表面化しました。
 「化学産業に与える影響としては、電力問題の方が大きいかもしれない。世論は原発に厳しく、方向としては『脱原発』とまではいかなくても『縮原発』には向かうだろう。石油・天然ガスや自然エネルギーに代替すればコストアップとなる。さらに円高の追い打ちが加われば、輸出主体の企業は日本での新規投資は難しくなる。1ドル100円レベルならともかく、80円を切る水準では努力のしようがない。石油化学分野ではエチレン換算で200万トンの輸出は厳しくなる。企業としては生き延びることをまず考えなくてはならない。当社も南陽事業所で一層のビニルイソシアネートチェーンの拡大を考えていたが、海外立地も選択肢としなくてはならなくなった」

※Mn正極材に期待※

 - 環境・エネルギー、ライフサイエンスなど化学産業の貢献が期待されています。
 「環境エネルギー分野では、太陽電池用封止材に用いるエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)に力を入れている。設備の改造で増産できるようにする。また、リチウムイオン2次電池(LiB)の正極材にマンガン(Mn)系材料が採用される動きがあり、当社も対応を強めている。電解二酸化マンガンはこれまで乾電池用に供給してきたが、正極材に求められる性能を実現すべく開発を急いでいる。正極材材料は複数の材料が共存することになるだろうが、マンガン系材料は有力と期待している。糖尿病などの診断試薬などバイオサイエンス事業も力を入れている分野で、世界的なニーズに貢献できる事業だと考えている」


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