【持続成長と化学の力】(7)関西ペイント 河盛裕三社長
国内塗料最大手メーカーの関西ペイントは、さらなる事業拡大を目指し、経済成長が続く新興国のボリュームゾーンを取り込んでいく考えだ。河盛裕三社長は「その国々で支持され受け入れられる製品を提供することが大切。ボリュームゾーンに適合するようコモディティなものを使って特色ある製品をいかに作り上げていくかが生き残る道だ。品質の高さ、過去の成功体験に思い上がらず、原点に立ち返る必要がある」という。
※震災で収縮が加速※
▼ 東日本大震災が日本経済に与えた影響をどのように考えていますか。
「以前から日本市場は10年後にはリーマン・ショック前に比べて40%ダウンすると想定していたが、今回の地震でその時期が来るのが早まったとみている。このままいくと、5年後には4割減となってしまうだろう。震災でお亡くなりになられた方、被災された方々には心からお悔やみを申し上げる。ただ、日本経済にとっては地震にもまして円高の方がインパクトが大きい」
▼ 震災によってサプライチェーンが寸断する一方、日本の素材メーカーの存在感が増したと思います。
「サプライチェーンではなく、点と点であったにすぎなかった。1本の供給ラインが途絶えても、他で補うことができるのが本来のサプライチェーンだが、今回はカバーできなかった。日本という極めて小さな輪のなかで品質や性能を重視しすぎた供給網を作っていた。コモディティ化された原料をグローバルから調達するとともに、為替に左右されにくく、コストなどを考慮した真のグローバル・サプライチェーンを構築していかなければならない」
※「日本流」を見直し※
▼ 世界各地に拠点を持っていますが、これからのグローバル戦略は。
「経済発展が期待される国々では年間所得が100~200万円の人々が大きな購買層となっており、この層をターゲットに据えていく。ボリュームゾーンを獲得していくためには、国・地域ごとに求められているニーズや品質を調査し、かつ適正な価格で販売するということが必要だ。日本のような高品質、高コストな製品は海外のボリュームゾーンには受け入れてもらえない。日本流、日本目線ではなく、これまでのマインドを変え、それぞれの国に合ったやり方を採っていかなければならない。この一環として海外でのマーケティング活動を強化していく。どこかの国にリサーチセンターのようなものを設ける方針だ」
※海外との融合肝要※
▼ 今後の日本でのモノづくりの位置付けは。
「これまで蓄積してきた知見はかなり生かされていくし、それなりの役割も占めていく。ただし、高機能・高品質にあぐらをかいていてはいけない。もう一度、裸一貫になってやり直していかなければならない部分もある。海外拠点も良いアイデアを持っており、それをくみ取り融合させていくことが肝要だ」
▼ 国内工場の再編は。
「現在、鹿沼(栃木県)や平塚(神奈川県)など6工場あるが、日本市場は4割落ちると考えていることから、尼崎事業所(兵庫県)を物流拠点へと機能転換を図る計画だ。日本では生産技術を含め抜本的な技術革新を、各国・各地域ごとの市場ニーズに適応するための技術改良はそれぞれの現地で対応していく」