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2011年08月19日 前へ 前へ次へ 次へ

急がれる農業6次産業化の強化拡充

 農業の6次産業化が徐々に拡大している。今年3月、農林水産省から公表された「2010年世界農林業センサス(確定値)」によると、農産物加工に取り組む農業経営体は、05年の前回調査に比べ43%増の3万4000と大きく増加した。また、農業経営体の農産物の売り上げ1位の出荷先の状況では「消費者に直接販売」が同19%増となった。このなかにはインターネット販売も含まれており、農協や卸・小売りを通さず、消費者に直接販売しようという取り組みが広がっている。
 こうした6次産業化の流れには産業界も注目しており、住友化学は農業生産法人の経営に乗り出している。長野県と大分県に農業生産法人「住化ファーム」を設立、これを今後3年で全国カ所に拡大する計画だ。住化グループで取り扱っている肥料や農薬、潅水チューブ、農業用ポリオレフィンといった生産資材を利用し、収穫された農産物はグループの日本エコアグロを通じて販売する。つまり、生産から販売までを一貫して行うという取り組みであり、今後の発展に大いに期待したい。
 現在、農家の平均年齢は66歳といわれている。高齢化が進み、農地を農業経営体に貸し出す農家が増えている。経営耕地面積のなかで借入地は約106万ヘクタールで05年に比べ3割ほど増えた。一方、農業以外の分野から農業経営体に新たに雇用されたのは7600人で、39歳以下が7割近く占める。長引く不況で就職できない人が、農業経営体に就職するケースが増えてきているものと考えられ、雇用の受け皿としても農業の重要性を増している。
 そのような農業経営体にも課題はある。1つが収益性だ。例えば、東北、九州、沖縄では露地野菜を栽培する経営体の数が増えている。水稲1ヘクタールから得られる利益はおよそ36万円で、コメを作っても儲からないからだ。しかも、農地を借り受けて大規模化を図ったとしても、飛び地になっているとかえって生産効率が落ちる。住化ファームで生産しているのもイチゴとトマトといった比較的付加価値の高い作物だ。どの作物なら採算が確保できるか、付加価値の得られる加工品の選択など経営課題は多い。
 農林水産省が今月12日に発表した10年度の食糧自給率(カロリーベース)は1ポイント減の39%。20年に50%という目標を掲げているが、実現には相当な努力が必要だろう。6次産業化には、農産物加工、直接販売、観光農園、体験農園、農家レストランなどさまざまな形態がある。日本農業の持続的発展に向け、競争力のある農業経営体の育成が急務だろう。


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