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2011年06月24日 前へ 前へ次へ 次へ

新合併指針で機動的な企業再編を

 企業合併の審査手続きおよび基準に関するパブリックコメントを募集していた公正取引委員会が、最終案を公表した。最大の焦点だった事前相談制の廃止や審査の目安となるシェアについて「国内だけでなく、世界的な競争状況を勘案」としたほか、市場規模が縮小している場合は合併を認めやすくすることも盛り込んでいる。この見直しが機動的な企業再編を通じた競争力強化につながることを期待したい。
 政府が昨年6月に打ち出した合併審査の透明性と迅速性を高めようとする方針を受け、公取委は、審査指針の見直し作業を進めていた。今年3月に改正の原案を公表してパブリックコメントの募集を開始、最終案に反映させた。新たな審査指針は、7月1日から適用される。
 まず、企業合併についての事前相談を廃止、迅速性を高めることにした。審査期間中、企業から説明を求められた場合、公取委が論点を説明するほか、企業はいつでも意見書や必要資料を提出することができる。
 また、「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」を見直して、審査の目安であるシェアについて、国内だけでなく世界的な競争状況も審査の対象とすることにした。
 公取委は現在、新日本製鉄と住友金属工業が提出した合併計画を審査中だ。6月末までに一次審査を終える予定だが、ここに新しい審査指針を前倒しで適用する。2012年10月の合併を目指している両社の粗鋼生産量は約4780万トン(10年実績)で、アルセロール・ミタルに次いで世界2位に浮上する。国内での粗鋼生産シェアは40%程度に上昇するものの、中国勢の拡大戦略が活発化するなかで世界シェアは3%前後にとどまる。中国を含むアジア市場でも盤石ではない。"世界的な競争状況"は、この合併審査の大きな焦点となる。
 一方、市場規模が継続的あるいは構造的に縮小するなかで、競争者の供給余力が十分である場合、需要家はいつでも調達先を変更できることから、合併が競争を制限するとは考えにくいと判断して、合併を認めやすくする方針だ。このほか、輸入圧力が十分働いているケース、隣接市場において活発な競争が行われている場合なども、競争を促進する要素として、前向きな合併審査の要因になる。
 今回の審査指針の見直しは、昨年6月に閣議決定された「新成長戦略」のなかで指摘された競争力強化策に対応したもの。中国など新興国の台頭を受けて相対的な競争力の低下を余儀なくされている日本企業にとって、機動的な事業・企業再編の重要性は高い。


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