東日本大震災 医薬品企業への影響 連載2
{被害が大きかった栃木県の工場}
岩手県にある塩野義の金ヶ崎工場など被害が大きかったが、震源からは離れている宇都宮など栃木県に立地した工場も建屋が被害を受けたり、設備の損傷が予想以上に大きかった。あすか製薬や東北二プロなどの中堅製薬企業が数十億円の特損を計上しており、経営面でのダメージが大きい。受託生産している東北二プロのケースでは、委託下が自社生産、委託先を切り換えるといった影響も見受けられる。
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「中外は特損90億円、久光は設備を鳥栖に」
工場が被災し一挙に供給不安を招いたのは甲状腺障害の治療薬であるチラーヂン。あすか製薬のいわき工場が停止したのが理由。同領域でのあすかのシェアが100%近いため、同社は同種同効薬の緊急輸入を実施した。3つある製剤棟の中で2つが4月中までに再開できたが、第3製剤棟は遅れ、全面的な操業再開は6月末になる。同社としては設備の復旧費など26億円強を見込み、それまでの退職加算金計上を含め前期特別損失が47億円弱に膨らんだため、前期は8億円弱の当期純損失と被害は甚大だった。
ニプロは、東北二プロの被害が大きかった。鏡石の固形剤工場は、協和発酵キリン、中外製薬などが同工場での受託生産品目である。工場建屋などの被害はほとんどなかったが、生産設備の被害が大きい。大館の被害は少なく、大方が鏡石分だが、災害損失引当40億4000万円などを含め52億6000万円の特損を前期に計上した。一部の生産再開は早ければ6月下旬を予定している。
中外製薬の宇都宮工場は、IL-6モノクローナル抗体のアクテムラの原薬、製剤、包装を製造していた。品質管理棟、倉庫棟、事務厚生棟の3棟が甚大な損傷があったが、生産設備の被害は少なかった。しかし、包装工程再開後も簡易パッケージに切り替え出荷調整も実施している。ほぼ復旧できるのは9月と見通している。仕掛品、。製品在庫が破損し、損害額は在庫品関連で40億円、建屋・設備関連で50億円の計90億円程度と想定している。
医療用テープ剤トップメーカーの久光製薬は、宇都宮第1工場がストップしたために、モーラスパップの製造ラインを急遽佐賀県の鳥栖に移設した。建物の損傷が大きかったのが理由。サロンパスを製造していた第2工場は比較的軽微であったため、4月に稼働を再開、モーラスも製造している。テープ剤のトップブランドということで仮需が発生、品薄状態となったこともあるが応急対応で生産は震災前に近づいている。