リスクを抱えながら底入れする日本経済
今週発表された4-6月期の法人企業景気予測調査によると、景況判断指数(BSI)は東日本大震災の影響を受けて悪化幅が大きく拡大したものの、7-9月期からは大企業が先導して底入れに転じそうである。これを受けて2011年度の売上高、経常利益はほぼ前年水準を確保し、設備投資は前回調査から上方修正、企業の投資意欲は堅調であることを示した。ただ、海外経済の先行きに不透明感が漂うほか、電力供給問題が中長期も含めた日本経済のリスクとして浮かび上がってきた。
5月15日時点で集計した内閣府と財務省の法人企業景気予測調査は、製造業のサプライチェーンの修復が急ピッチで進んでいた時期であり、これが企業の景況感にも反映したようだ。4-6月のBSIは大企業全産業でマイナス22・0となり、3期連続で悪化した。中堅企業や中小企業の悪化幅はさらに大きい。しかし、先行きの7-9月期に関しては大企業全産業がプラス4・4に転じ、中堅企業のマイナス幅も縮小した。10-12月期見通しでは、中堅企業もプラスに転じるなど、製造業が牽引役を果たし、景気回復が期待できる内容になった。
このことは企業業績にもつながる。11年度の全産業売上高は前年比0・3%増で前回調査に比較するとわずかに下方修正されたものの、製造業に限ると2・4%増で上方修正になった。全産業の経常利益は1・1%減で前回調査の6・4%減から悪化したが、製造業は0・4%減に踏みとどまる。設備投資は前回調査から上方修正されて4・9%増になり、製造業に限ると6・9%の増加である。
この調査から、日本経済は08年秋以降の世界同時不況を着実に克服しつつあり、震災による影響は大きかったものの、回復に向けた基調を堅持しているといえそうだ。日本銀行の白川方明総裁は14日の記者会見で、リスク要因として米国のバランスシート調整や欧州のソブリン問題、新興国・資源国の減速の兆しなど海外経済とともに、電力問題を指摘した。
被災した東京電力と東北電力管内では15%削減に向けて供給・需要側の努力によって何とか乗り切れるめどが立ちつつあるが、中部電力浜岡原発の運転停止、関西電力の15%削減要請など電力不足は全国に広がっている。白川総裁は電力不足が中長期的に続くと「日本経済に対する影響が非常に大きくなる。日本の製造コストから投資の見直しが進み、潜在的な成長率や経済活動水準を下げるというリスクを秘めている」と発言。この危機感は産業界と共通するものであり、今後のエネルギー政策においても重要な視点である。