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2011年06月17日 前へ 前へ次へ 次へ

東日本大震災 医薬品企業への影響 連載1


{操業停止工場は二桁にも医薬品のサプライチェーンは維持された}

 東日本大震災では医薬品製造、流通とも大きな被害を受けた。第一三共、アステラス製薬、中外製薬、久光製薬、ニプロ、あすか製薬などが被害が大きく、前期決算で数十億円の特別損失を計上している。4、5月に再開できた工場もあるが、今月末から今秋にかけて全面的復旧ということになりそうで、今期業績にも影響は残る。東日本の医薬品生産の影響は小さくはなかったが、医薬品流通面に大きな支障は生じていない。交通・連絡網の寸断により多くの被災地で患者への医薬品供給が滞ることはあったが、業界団体などを通じての緊急支援、メーカーから卸、卸から医療機関、薬局へのサプライチェーンが機能していたこと、行政側の柔軟な規制対応も功を奏した。
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 「塩野義製薬など前期に二桁億の特損計上」

 今回の震災で被災した医薬品工場は、主要なところだけでも二桁を超える。Meiji Seika ファルマの北上、塩野義製薬の金ヶ崎、アステラスの西根、大塚HDグループのイーエヌ大塚製薬の花巻、トーアエイヨーの福島、ニプロの大館と子会社である東北ニプロの鏡石、中外、久光の宇都宮、田辺三菱製薬の足利、鹿島、第一三共の小名浜、あすか製薬のいわき、アステラスの高萩の工場、ツムラの茨城などだ。
 震災による直接被害ではないが、東電福島第一原発事故の避難地域にあるエスエス製薬の福島工場の再開は事実上不可能、といった思わぬ被災もある。同工場はエスカップなどを製造していたが、5月下旬から提携工場で生産を再開している。 Meijiの北上工場は原薬を製造しているが4月25日から順次操業を再開、5月20日から全面再開となった。この間の損失は10億円である。大塚ホールディングスグループのイーエヌ大塚の経腸栄養製品を製造する花巻工場の操業再開は3月22日だが、同グループの大塚倉庫の仙台、浦安での荷崩れなどもあり、前期の災害関連損失計上額が18億円強になった。
 塩野義製薬の金ヶ崎工場は抗生物質の原薬、製剤、がん疼痛治療薬の製剤を製造しているが、震災で全面的に操業を停止した。現時点では6月下旬から7月中旬にかけて順次操業を再開する予定としている。前期決算では、震災による操業停止や営業機会損失などを理由に30億円の特損を計上した。また今期にも特損を計上する予定だ。
 トーアエイヨーは、福島、仙台両工場とも4月13日に操業を再開している。田辺三菱の足利、鹿島両工場も一時停止したが4月11日に再開した。前期に災害損失21億円、減損損失8億円を処理している。
 持田製薬の大田原の工場がストップしたことで品薄になったのは子宮内膜症治療薬ディナゲスト。4月下旬にバラ包装品は再開、5月下旬に外部委託品も供給できるようになった。全面再開は6月下旬を予定している。同社は前期に約30億円の特損を計上した。


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