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小異を捨て化学物質情報伝達を急げ
工業製品に使われている化学物質に対する規制が先進国のみならずアジア新興国でも導入、強化されている。含有される化学物質情報を伝達する新たな標準スキームに向けた取り組みは、化学物質を生産する化学企業から最終製品企業に広がるサプライチェーンで進められているが、多くの課題を抱えている。産官の関係者が認識を共有化して、化学製品を生産する産業だけでなく、利用する産業の競争力強化にも貢献してもらいたい。
化学物質を使用しない工業製品は皆無といえるほど産業活動に不可欠な存在になっている。これまでは化学物質そのものの危険有害性が問題になっていたが、最近では電気電子製品などに含まれる有害化学物質が問題になるケースが増えている。この対策にサプライチェーンを通じて化学物質情報を的確に伝達することが求められる。
川上の化学企業が化学物質の有害情報を提供、川中の混合や成形加工企業などを経由して部品やセットメーカーに渡る。情報伝達の取り組みは動き出しているが、それぞれの業種や企業間で独自に進めてきたことから多くの方式が乱立している。とくに問題になりがちなのは中間体や成形を手掛ける川中段階。中小企業が多いことに加え、商社なども介在することで情報が途切れるケースが多い。
正確かつ迅速に製品含有化学物質情報を入手したい電気電子や自動車などの業界は化学企業の参加も得て情報伝達の標準スキーム構築を進めてきたが、利用状況は3分の1をようやく超えたところだ。しかも電気電子業界ではJAMPとJGPSSIという2つの情報伝達方式が併存する。残りの3分の2は独自方式で対応しており過大なコスト負担が発生している。
経済産業省は、昨年3月に製品含有化学物質の情報伝達に関する研究会報告をまとめた。業種や製品を限定せずサプライチェーン全体で活用できることを目標に、国際標準との整合も視野に入れている。とりわけ含有化学物質リスク情報に関心が高く、国際展開が進んでいる電気電子業界のスキームを統合すべく産業界に働きかけてきた。
基本方針は国際標準のIEC62474と整合性がある仕組みの構築だが、既存のJGPSSIとJAMPの2方式をスムーズに取り込むことは簡単でない。現在、標準伝達スキームの3つの構成要素であるデータ作成支援ツール、データフォーマット、ITシステムの仕組みに着手したが、計画は遅れ気味だ。運用上の課題も残している。標準伝達スキームが遅れると産業競争力の低下にもつながりかねない。危機感を持って作業を加速してもらいたい。