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再生医療で注目のオーストラリア
日本企業とオーストラリアの企業が再生医療分野で協業する動きが広がっている。富士フイルムは今年1月にオーストラリアの再生医療ベンチャー、サイナータ・セラピューティクスと資本・業務提携した。サイナータは他家人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来の間葉系幹細胞(MSC)を効率的に大量生産できる技術を保有。5月にはiPS細胞由来MSCを用い、移植片対宿主病(GvHD)を対象とした治験を英国で始めた。iPS細胞を用いた治験は世界初。今回の契約で、富士フイルムは治験結果に応じてGvHD再生医療製品をライセンス導入する権利などを獲得した。
旭硝子も昨年12月、オーストラリア再生医療ベンチャーのレジニアスと資本・業務提携を結んた。レジニアスは、他家脂肪由来間葉系幹細胞(MSC)を用いた再生医療製品「プロジェンザ」を開発しており、すでに変形性膝関節症(膝OA)への適応で、現地で第1相臨床試験を終了している。今回の契約により、旭硝子は日本でのプロジェンザの独占製造権を取得。また日本での独占開発・販売権を保有する合弁会社を、レジニアスと折半出資で設立した。
オーストラリアにはサイナータ、レジニアスのほか、間葉系前駆細胞(MPC)を用いた慢性心不全治療を開発中のメゾブラスト、腱・軟骨・軟部組織損傷の再生医療製品を開発しているオーソセルなど、再生医療ベンチャーが数多い。その理由の一つに同国がバイオベンチャーにとって魅力的な制度・環境を整えていることが挙げられる。例えば第三者機関の承認によって治験が開始できるCTN(治験届)制度があり、ベンチャーは革新的な開発品を世界で初めてヒトに投与することが可能。また政府が、年間売上高2000万豪ドル以下のベンチャーに対し、研究開発費の43・5%相当を還付する税制優遇措置をとっていることも大きい。この魅力的な2つの制度を目当てに、有望シーズを持つ世界各国の研究者、開発者たちが渡豪し、次々にベンチャーを立ち上げているというわけだ。
日本にも、世界で最も早く再生医療製品を市場投入できるようにした条件・期限付きの承認制度がある。そのためオーストラリアの再生医療ベンチャーにとって、第2相以降の臨床試験を日本で進めることは有力な選択肢となっている。
今後も日豪の企業間で再生医療分野の協業が活発化すると見込まれる。それを通じて革新的な再生医療製品を、いち早く市場に上げることができれば、両国に世界的に進んだ医療環境がもたらされるに違いない。