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四国化成工業 玉城 邦男 氏 「新製品育て次の収益源に」
▽2009年に常勤監査役を退任され、今年4月の顧問を経て社長就任となりました。
「三井物産入社後に大阪配属となり、最初に担当したのが四国化成工業だった。そこから30年後に転籍し、化学品担当などで10年間勤め上げた後にいったんは退職したが、7年を経て社長に就任することになった。『これも浅からぬ縁』と考えて打診を引き受けた」
「当社は『独創力』の企業理念の下、グローバル・ニッチ企業を志向して歴史を積み重ねてきた。その経営の連続性を重視し、19年3月期まで3年間の中期経営計画達成に向け全力を尽くすのが使命だ。顧客企業の海外展開が進み、新興国の競合先も技術力を蓄えるなかで経営のスピード感もより重要になる。中堅、若手社員が先頭に立って会社を牽引する職場環境作りにも取り組みたい」
▽今期スタートした中計では新製品の育成を最重要戦略に挙げました。
「16年3月期に初めて売上高500億円を超えたのは既存事業の拡大によるところが大きい。足元も主力製品の収益環境はおおむね堅調といえ、当社が世界シェア2位のラジアルタイヤ向け不溶性硫黄は世界的な自動車販売の拡大で需要増が見込め、同首位のプリント基板向け防錆剤も自動車の電装化などから顧客のすそ野が広がっている。だが中長期的な成長を見据えて次世代の収益基盤を作り上げる必要がある。このため中計期間中に数億円規模の収益が見込める新製品に経営資源を集めて育成に力を注ぐ」
「化学品事業では、有機化学合成の得意技術を活用した電気・電子材料の高機能化につながる樹脂添加剤などの機能材料、プリント基板の銅回路と樹脂の密着性を高めて高周波の伝送損失を低減する薬剤などに期待する。バラスト水処理装置向け薬剤は環境保護の国際条約発効を見据えて需要を取り込む準備を進めている。建材事業でもアルミ建材と壁材を組み合わせた新たな外塀で住宅分野を開拓し、事業領域の拡大を目指す」
▽今後の投資計画は。
「不溶性硫黄は丸亀工場(香川県丸亀市)の設備増強が17年に完了し、生産能力は従来比で3割増える。ゴム薬品や樹脂添加剤の開発力を高めるため、今年10月には研究開発拠点(香川県宇多津町)で物性評価棟が完成する。新製品の立ち上がりにともない量産対応で追加的な設備投資も必要になるとみており、この3年間の累計投資額は前中計期間の約65億円を大幅に上回る可能性もある」
▽海外展開はどのように考えていますか。
「プリント基板向け防錆剤を中心とする営業、技術サービス強化で昨年は台湾とシンガポールに事務所を開設した。当社の化学品事業は海外輸出比率が50%超を占めることから、それを支える体制は臨機応変に検討する。不溶性硫黄は増設分を含めて売り抜くため、これまで手薄だった米国や欧州市場の開拓にも力を入れる」
(聞き手=小林徹也)
【横顔】商社時代の担当から約半世紀を経て社長就任。「四国化成との縁は人生そのもの」と感慨深げ。だが中計に質問が及ぶと「スピード感と忍耐のバランスを持って確実に成し遂げる」と決意を語る。座右の銘は「自然体」「失敗をおそれよ」。対極の言葉を並べるのは商社時代に身につけた複眼的な思考力から。
【略歴】〔玉城 邦男 氏=たまき・くにお〕1969年(昭和44年)東京大学法学部卒、同年三井物産入社。99年四国化成工業入社、2003年取締役専務執行役員化学品担当、05年常勤監査役、16年顧問、16年6月社長兼最高経営責任者(CEO)兼化学品事業担当就任。長崎県出身、72歳。