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シンガポール 農業技術開発で存在感、知財保護など強み
シンガポールが農業関連の戦略拠点として投資を集めている。シンガポール政府は化学産業の高付加価値化を目指すなか、油田開発・水処理、潤滑油添加剤、コンシューマーケアとともに、アグロケミカルやアニマルニュートリションといった農業関連を成長分野に設定。誘致活動を活発化している。アグロケミカル分野ではとりわけ技術活動の拠点としての存在感を高めている。
農業が存在しないシンガポールにおいて、投資を集める理由とは何か。シンガポール経済開発庁・エネルギー&化学担当シンディ・コー ディレクターは、「通常、生態系保護の観点から他国のサンプルを持ち込むのは難しいケースが多いが、シンガポールではそれが可能。さらに知的財産の保護も手厚いため、技術活動の場として最適」と背景の一つを説明する。
これまでも欧米企業ではシンジェンタやバイエルなどが農業関連の技術拠点をすでに構えており、さらに機能の拡充にも積極的だ。シンジェンタは先頃、シンガポールに世界で12番目、アジアでは2番目となる「シードケア・インスティテュート」を開設。東南アジアおよび南アジア市場を対象に、種子処理をはじめ、品質管理やトレーニング、製品サポートなどといった技術活動の拠点として機能するという。シンジェンタは2010年にも同国に分子マーカーやフォーミュレーション開発のR&Dラボを開設している。米国企業ではデュポンが14年にトゥアス地区に農薬のフォーミュレーション工場を開設したほか、年内をめどに農業&ニュートリションといったコア事業のビジネスおよびR&Dの地域統括本部をシンガポールに開設する計画を進めている。
シンガポールでは、政府系研究機関も農業関連を注力分野に設定。化学工学研究所(ICES)のキース・カーペンター所長は、「ICESが開発したプロセス技術や生物工学を担当する他の研究機関との連携を柱に、アジア市場向けの各種農薬の開発プラットフォーム構築を進める」とR&D戦略の方向性を語る。
また、新たなビジネスモデルの発信基地とする取り組みも拡大している。住友化学は昨年、シンガポール農食品獣医庁と共同で都市型農業の開発プロジェクトをスタートした。建物屋上に農業ハウスを設置し、太陽光利用型の養液栽培プラントによる栽培実験を実施。都市型農業モデルを確立し、将来的にはアジアからグローバルに事業を展開する計画。パナソニックは、シンガポール初となる屋内野菜工場を14年に開設。年産3・6トンからのスタートだったが、販売が好調で15年には同81トンまで拡大。さらに16年にはシンガポールで生産される野菜の5%の供給を目指しているという。