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連載 ジェネリックバブルの行方【4】 生き残りへ差別化に腐心
大型品の特許が切れると30品目以上のジェネリック医薬品(後発薬)が一斉に登場することが当たり前となった今、シェア獲得のために各社が力を入れるのは価格と「付加価値」だ。水なしで飲めるOD錠(口腔内崩壊錠)など先発品にない規格の開発や、飲みやすさや安全性などを訴求した製剤・パッケージの開発など、自社品の付加価値化で差別化を図る企業が増えている。
今年6月に後発薬として初めて発売された抗血小板剤「クロピドグレル」。先発品はサノフィの「プラビックス」で、昨年は国内だけで約1200億円を売り上げたブロックバスターだ。これまでの大型品と同様、30社の後発薬が薬価収載された。先発品にない用量の製剤や、嚥下能力が低下している患者でも飲みやすくした錠剤、手が不自由になった患者でも錠剤を取り出しやすくした包装シートなど、競合品にない付加価値を意識した製品が多数発売された。
同剤に限らず、錠剤の印字を見やすくしたり、PTPシートや化粧箱のデザインを工夫するなど先発品・競合品との差別化に力を入れる企業が増えている。しかし、こうした開発にかかる費用が薬価算定で評価されることはない。初めて薬価収載される後発薬(内服薬)の薬価は先発品の60%、10品目以上の銘柄数がある場合は50%の価格で一律。次期薬価改定でさらに基準が引き下げられる可能性が高いなか、プラスアルファの製剤開発に励むほど各社の収益は苦しくなる。
差別化手段の一つで、今後の後発薬シェアを大きく左右する存在として注目されるのが、オーソライズド・ジェネリック(AG)だ。先発品メーカーから正式に特許のライセンス許諾を受けて、後発薬メーカーが先発品と同じ原薬、添加剤、製法で製造する後発薬。「先発品メーカー公認」という保証があり、通常の後発薬より先に発売できるため先発薬・後発薬ビジネスの新しい戦略の一つとして注目されている。サノフィと日医工が国内初のAGとして抗アレルギー薬を発売し、プラビックスでもAGを出した。この1年間で、武田薬品工業/あすか製薬、第一三共/第一三共エスファ、ノバルティス ファーマ/サンドなど大型品を抱えていた各社がAG化に乗り出した。後発薬シェア80%時代が現実味を帯びてくれば、新薬メーカーもAG戦略を改めて検討することになりそうだ。
後発薬の数量シェア80%という新目標に応じた増産体制を整えながら、製剤の付加価値化にも資金を投じる。薬価全体が引き下げられ、多数の競合とのシェア競争も厳しくなる。日本には約200社の後発薬企業が存在するとされるが、今回の目標引き上げで業界再編は起こるのか。
専業大手同士の合併や中小買収については否定的な見方が多い。新薬メーカーの場合は期待する新薬や専門領域でシナジーを見込んだM&Aがあるが、同じような品揃えで少量多品種を生産する後発薬企業にとって、同業他社と一緒になっても製品ラインアップが重複するだけでメリットは小さい。日医工、沢井製薬、東和薬品などの日系大手は自社グループのサプライチェーンを既に固めており、「受け手側も断ってくると思う」(沢井製薬・澤井光郎社長)との構えだ。
東和薬品の吉田逸郎社長は、「業界再編というより、後発薬企業の分業が進むのでは」と話す。同社のように開発から生産、販売まで一通りのサプライチェーンを維持できる企業は減っていき、製造受託を収益の柱にする企業、研究開発を重視する企業、取り扱い製品を絞り込む企業というように棲み分けが進むとの見方だ。
今後の制度改革次第で経営見通しが大きく変わりそうなのが、中堅以下の専業や外資系・新薬系メーカー。ある業界関係者は、「17年頃から、供給と投資が追いつかずギブアップする企業が出てくるのでは。60%を超えた辺りが転換期になり、再編につながる可能性はある」と話す。
(おわり)
【写真】錠剤の印字やパッケージに工夫を凝らし、競合品との差別化を重視した開発が増えている(テバ製薬「服薬サポートツール」と第一三共エスファ「C―ガード」)