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2014年09月24日 前へ 前へ次へ 次へ

iPS細胞を創薬へ 製薬各社の試み8

赤羽_製薬協コンソーシアム リーダー集合写真[1].jpg製薬協コンソーシアム発足1年(上)
安全性評価の新ツールに
ライバル同士が検証作業 

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)は、医薬品開発の新しいツールとしても応用が期待されている。これまでは動物や人工培養細胞で行っていた実験の段階からiPS細胞を使えるようになれば、より効率的で開発成功確率の高い新薬開発が可能になる。製薬業界では、医薬品の安全性を評価するツールとしてiPS細胞の活用を目指して、普段は競合するライバル企業の研究者同士が手を組んで検証作業に取り組んでいる。

 日本製薬工業協会(製薬協)は昨年7月、ヒトiPS細胞から分化誘導した臓器細胞を用いて医薬品の安全性評価技術を検証する「ヒトiPS細胞応用安全性評価コンソーシアム」を発足した。製薬協加盟会社から社、安全性試験受託研究機関協議会(安研協)から8社が参加し、細胞や分析機器などを提供する協賛企業24社、国立医薬品食品衛生研究所(国衛研)、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)など4機関からのアドバイザリーによる支援を受けながらプロジェクトを進めている。
◆包括的な評価系を
 安全性評価の検証作業が最も進んでいるのが、心臓チームだ。iPS細胞由来の心筋細胞を用いて化合物の心毒性を調べる評価方法の確立を目指している。心毒性評価は心電図のQT間隔延長を確かめて催不整脈リスクを評価する方法が主流だが、チームはQT延長による催不整脈リスク評価だけでなく、心筋の収縮機能障害や長期投与時の細胞傷害性も試験管内で評価できるような包括的な評価系の可能性を探っている。
 今年7月の第41回日本毒性学会学術年会でコンソーシアムとして初めて研究成果を報告し、多電極アレイシステムによる催不整脈作用評価、パッチクランプシステムによる電気生理学的特性、動きベクトル予測(MVP)法による薬剤誘発性機能変化などの検証状況を発表した。各社で異なる分析機器などを用いたが、機種間、施設間に差がないことも確認した。
◆各社で使えるものを
 ほかの肝臓、神経チームより参加企業が多く、評価法の検討作業も進んでいるが、既存の評価系にすぐ置き換わるものになるとは想定していないという。従来のデータと合わせて各社が総合判断する材料の一つになるという位置づけで、まずは「各社レベルで使えるもの」を目指す考えだ。心臓チームのリーダーを務める高砂浄氏は、「ヒト由来を使うことで既存の非臨床実験と比べてどのようなメリットがあるのか、iPS細胞本当にメリットがあるのかまだわからないことは多い。研究の新しい評価系の原点になるものを探りたい」と話している。

【写真説明】市場では競合するライバル同士が手を結び、日本発の評価系確立に挑む。写真は右から高砂浄氏(心臓チーム)、宮本憲優氏(コンソーシアム・リーダー)、篠澤忠紘氏(細胞性状解析チーム)、井上智彰氏(肝臓チーム)


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