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環境経営に水の視点
水消費量や水リスク把握 製品開発などに活用
事業機会損失も防止
経営の重要テーマに、水を掲げる企業が増えている。富士フイルムが製品ライフサイクル全体の水消費量の算定に着手し、積水化学工業は国内外の事業所ごとに「水リスク」を把握することを決めた。旭化成や帝人なども水に係わる経営指標を導入している。世界的に水問題が深刻化するなか、水の管理は環境負荷低減だけでなく事業の持続性においても重要な意味を持つ。積水化学は「事業機会の損失防止」を、その目的の一つに掲げている。裏を返せば機会創出の可能性もあるといえ、富士フイルムは算定を通じ環境配慮製品の開発を加速させる考えを示している。
水不足や水質汚染は世界的な問題となっており、工業用水の不足や排水規制の強化など、生産活動にともなう水リスクも年々増加している。製品の生産時だけでなく、原材料の調達地や製品の消費地までも含めれば、水リスクが企業活動に与える影響は非常に大きい。「WDP」や「環境フットプリント」など、企業に情報開示を求める制度の導入や検討も進んでいる。
富士フイルムは今月、「ウォーターフットプリント(WP)」の算定ガイドラインの運用を開始した。製品の水消費量を算定することで、製品ライフサイクル全体の水資源への負荷を可視化する。水ストレス地域を考慮した原材料調達を含め、環境に配慮した製品開発に取り組み、水資源の持続的な利用と保護に貢献することが目的だ。
積水化学は、今年度から国内外の全事業所の操業時における水リスクを把握する。事業の一環として行う考えで、環境中期計画の重点テーマの一つに据えた。事業所ごとに立地や取排水にともなう水リスクを把握し対策を実施。生物多様性の保全と事業機会の損失防止を図る。第2ステップとして、サプライチェーンにおける水リスク対策も視野に置く。
また、旭化成は事業活動を通じ水資源の保全にどれだけ貢献できるかを表す指標「水資源貢献度」を策定している。同社グループの水消費量に対し、水処理膜などの水ビジネスによる水の保全量が何倍あるかを定量的に示すもので、製品を通じた環境貢献を拡大することを狙いに運用している。帝人は日本および主要生産国において、水の消費にともなう環境影響の定量的な評価を行っている。
新興国の経済発展や気候変動問題を背景に水の循環サイクルが大きく変わり始めており、水リスクはさらに増大するとみられている。事業の持続性という意味からも水の重要性が増しているが、企業が地域および世界で果たすべき役割もさらに増すのは確実。水消費量や水ストレスの把握を通じ、水不足や水質汚染の解決に貢献する新製品や技術の創出が進むことも期待されている。
(内野英一)