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2012年03月09日 前へ 前へ次へ 次へ

連載N02 日本のワクチン産業 新たな地平線

「ワクチン世界リーダーのGSK」 
 
 世界のワクチンメーカーのトップを争うのはサノフィ・パスツールとGSKである。GSKのワクチン売上高は11年に約4200億円と全売上高の13%程度を占める。生産拠点もワクチン事業を担うベルギーのGSKバイオロジクスを軸に、独、カナダなど世界14カ所に配置されており、ラインアップは30品目を超える。しかし、サーバリックス、新型インフルエンザワクチンの緊急輸入時まで日本のプレゼンスは弱かった。
 日本に09年12月に導入した子宮頸がんワクチン「サーバリックス」は2価のHPVワクチン。競合するメルクの「ガーダシル」は4価とより広くHPVをカバーしており、世界ではガーダシルが8割程度のシェアを持つ。日本では日本MSDのガーダシル開発のトラブルでサーバリックスが先行しただけに9割程度のシェアと海外とは逆。HPVワクチンは10年に公的補助が始まったことにより、GSKの昨年の日本でのワクチン売上520億円になる。そのほとんどがサーバリックスである。昨年11月に発売した「ロタリックス」も競合品がMSDの「ロタテック」であり、両社の競合が続く。
 日本でフェーズ3開発中の肺炎球菌ワクチン(PCV、開発コードGSK1024850A)は欧米で販売されている「シンフロリックス」。10価のワクチンであり、日本で販売されているファイザーの「プレベナー」が7価なのに対しより広い。フェーズ3開発中の帯状疱疹ワクチン(GSK1437173A)は、欧米もフェーズ3である。
 GSKのワクチンでグローバルなトピックスが4価のインフルエンザワクチン。A型のH3N2、H1N1、それにB型2種類を対象とするもので、欧米で最近申請された。日本での合弁設立により、既存の開発プログラムの進展、そして承認後のマーケティング体制が強化されたベースの上での開発導入ができることは、日本でのグローバルメガ同士の競合にもプラスに働くであろう。

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「開発品強化が課題だった第一三共」

 第一三共は、乳幼児の髄膜炎の原因菌の一つであるヘモフィルスインフルエンザ菌b(Hib)ワクチンの「アクトヒブ」発売後に北里研究所との合弁である北里第一三共ワクチンを設立した。同社が建設、開発している細胞培養インフルエンザワクチンが計画通り13年度中にも製造、承認されるのが当面の課題。有力開発品があれば次の展開の礎になるが、後期開発はDTPワクチンとIPVの4混ワクチンぐらいであり、いかにも玉不足だ。DPT+IPVも、その承認の前にサノフィ・パスツールが先頃申請したIPV単独ワクチンが登場する予定であり、販売に関しサノフィ・パスツールとの間での協議が必要かもしれない。
 そこで考えられるのが新たな混合ワクチン開発ということになる。同社はDPT+IPVに乳幼児に必須と考えられるHibや、PCV、B型肝炎ワクチンなどを組み合わせていくことが想定できる。ロタリックスは、経口の生ワクチンであり、注射剤とは同時接種を働きかけることも考えられる。いずれにしろ混合ワクチンを揃えるのに、開発レベルでは豊富に候補品を有するGSKとの連携は大きなメリットであっただろう。

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「GSKにとっての化血研」

 GSKにとっては、インフルエンザワクチンの細胞培養の第一号が化学及血清療法研究所(化血研)が開発、製造設備を建設中のH5N1型インフルエンザウイルスワクチンである。同設備は239億円の政府助成に基づき建設中。規模は北里第一三共と同じ半年で4000万人分、両社合わせると8000万人分になる。武田薬品工業、阪大微生物病研究会がいずれも2500万人分であることからすれば群を抜く。政府助成による設備を使った細胞培養品は国家備蓄用という位置づけであることが微妙だが、確実な収入源になる。化血研での製造は化血研主導も、H5N1以外のワクチン製造しようとすれば、GSKのサポートが必要になることも留意すべきことだろう。

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「ジャパンワクチンとは」

 両社の合弁会社「ジャパンワクチン」は、資本金1億円、従業員約200名(MRは約120名)。会長はGSKの石切山俊博常務取締役、社長は第一三共の長野明専務執行役員。両人とも共同CEOを兼務するということで対等の関係が強調されている。事業開始日は2012年7月2日。

(随時掲載)


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